繰り上げ返済の基礎知識 投稿公開日:2022.05.10 投稿カテゴリー:blog / お住い探し / 住宅ローン / 税金・制度 繰り上げ返済の基礎知識 ——————–【目次】[1]繰り上げ返済の種類1.期間短縮型2.返済額軽減型[2]繰り上げ返済をするタイミング[3]繰り上げ返済をするメリットデメリット[4]繰り上げ返済を行うときの注意点1.期待するほど総返済額が減らないこともある2.急な出費に備えて手持ちの資金を使い切らない3.繰り上げ返済をこまめに行う場合は手数料に注意4.住宅ローン控除を優先する方がお得なケースもある[5]繰り上げ返済を行うときの流れ[6]まとめ——————– ◆個別のご相談はこちら◆ 【無料】来店相談 【無料】電話相談 たとえば、金利1%、3,000万円の住宅ローンを35年返済で組んだ場合、利息はおよそ556万円もかかります。35年かけて返済するとあまりピンとこないかもしれませんが、かなりの大金ですよね。繰り上げ返済をするとこの利息を減らすことができるわけですが、繰り上げ返済のことを詳しく知っていないと逆に家計が苦しくなってしまう可能性があります。そこで今回の記事では、上手な繰り上げ返済のやり方やメリットデメリット、繰り上げ返済を行なう際の注意点などを解説します。 [1]繰り上げ返済の種類 繰り上げ返済は「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2種類あり、多くの金融機関では、どちらかを選択できるようになっています。それぞれの特徴をみていきましょう。 期間短縮型月々の返済額は変えずに、残りの返済期間を短縮する返済方法です。期間短縮型の特徴・毎月の返済額は変わらない・返済期間が当初より短縮される・返済期間が短くなるため、利息軽減効果が高い具体的に1年後、3年後、5年後にどのような効果があるのかシミュレーションしてみると… 1年後3年後5年後 減らせる利息短縮できる返済期間減らせる利息短縮できる返済期間減らせる利息短縮できる返済期間1%約39万円16ヵ月約36万円16ヵ月約34万円15ヵ月2%約94万円19ヵ月約86万円18ヵ月約79万円18ヵ月3%約167万円23ヵ月約153万円21ヵ月約139万円20ヵ月 (借入金額:3000万円、35年元利均等・ボーナス返済なし・100万円を一部繰り上げ返済する場合)上図をみると、繰り上げ返済を行う時期が早ければ早いほど利息軽減効果が高いことが分かりますね。住宅ローンの返済を早く終わらしたい方、少しでも支払う利息を減らしたい方には向いている方法です。 返済額軽減型残りの返済期間は変えずに、繰り上げ返済をした金額を毎月の返済額に充当する方法です。返済額軽減型の特徴・返済期間は変わらない・毎月の返済額を減らすことができる・返済期間短縮型よりも利息軽減効果は低いこちらも期間短縮型と同様に、シミュレーションしてみましょう。 1年後3年後5年後 減らせる利息月々の返済減少額減らせる利息月々の返済減少額減らせる利息月々の返済減少額1%約18万円2,898円約17万円3,051円約16万円3,224円2%約38万円3,385円約35万円35,34円約33万円3,703円3%約59万円3,919円約56万円4,061円約52万円4,224円 (借入金額:3000万円、35年元利均等・ボーナス返済なし・100万円を一部繰り上げ返済する場合)利息を軽減する効果は低い点はデメリットに挙げられますが、月々の返済額を数千円から数万円も安くすることができるので、「将来の支出(教育費など)に不安がある方」にはメリットになるでしょう。また、金利が上昇した場合の返済額増加を抑えたい方にも向いている方法です。 ◆個別のご相談はこちら◆ 【無料】来店相談 【無料】電話相談 [2]繰り上げ返済をするタイミング 住宅ローンの支払いは長期になればなるほど利息がかかるので、家計に余裕がある時は積極的に繰り上げ返済をしていきましょう。以下は、繰り上げ返済をするタイミングによって軽減できる効果をまとめたものです。【設定条件】借入額3,000万円返済期間35年全期間固定金利1.3%繰り上げ返済手数料なし 期間短縮型返済額軽減型 2年後-52.5万円-23万円5年後-46.4万円-20.8万円10年後-37.2万円-17.1万円15年後-28.7万円-13.6万円20年後-20.6万円-10.1万円25年後-13.1万円-6.6万円30年後-6万円-3.3万円 期間短縮型の場合、住宅ローン返済開始2年後に100万円の繰り上げ返済をして軽減できる利息は約52.5万円。一方、返済額軽減型で繰り上げ返済をした場合は、2年後に軽減できる利息は約23万円です。返済額軽減型は、期間短縮型に比べると利息の軽減効果が小さいため、2年後と20年後の利息軽減額の差は約12.9万円になります。この数字をどう捉えるかは人によって異なるとは思いますが、家計に余裕があるのなら繰り上げ返済をしない選択はもったいないかなと思います。 ただ、期間短縮型は利息軽減効果が大きい分、実行するタイミングによっては軽減額に大きな差が出やすいという点をしっかり理解しておく必要があります。期間短縮型を検討されている方は、繰り上げ返済を行うタイミングを慎重に見極めましょう。不安な方はファイナンシャルプランナーに相談するのもおすすめです。 [3]繰り上げ返済をするメリットデメリット 何事もそうですが、繰り上げ返済にも良い面・悪い面があります。繰り上げ返済のメリット・返済期間を短縮でき、利息も減らせる(期間短縮型)・月々の返済額を減らせる(返済額軽減型)繰り上げ返済のデメリット・手元の資金が減ってしまう・金融機関によっては繰り上げ返済の手数料がかかる繰り上げ返済をする最大のメリットは、利息も減らせることです。期間短縮型なら返済期間を短縮することもできます。返済額軽減型ですと返済期間は変わらないですが、月々の返済額を減らすことができるので、学費などで出費が多いご家庭に向いていますね。デメリットを挙げるとするならば、手元の資金が減ってしまうことと、金融機関によっては繰り上げ返済の手数料がかかること。こまめに繰り上げ返済をしてしまうと、その分手数料がかかってしまいます。手数料無料としている金融機関もありますが、あらかじめ金融機関のホームページなどでご確認ください。 [4]繰り上げ返済を行うときの注意点 ここでは、繰り上げ返済を行うときの注意点を解説します。 期待するほど総返済額が減らないこともある最近は金利1%程度の低金利な住宅ローンが増えています。低金利な住宅ローンで繰り上げ返済を行なう場合は、繰り上げ返済を行うタイミングや返済金額によっては、期待するほど月々の返済額や返済期間が減らないこともあります。 急な出費に備えて手持ちの資金を使い切らない子どもの教育費や家の修繕費などで想定されるライフイベントの資金はもちろん、病気や事故などの予期せぬアクシデントで収入が途絶えた時のために最低3ヵ月程度の生活費は手元に残しておきましょう。この『生活費3ヵ月程度』は、繰り上げ返済を行う判断基準にもなります。できれば生活費1年分を確保した上で、余剰分を繰り上げ返済に充てるのがベストですが、難しい場合は生活費3ヵ月程度の資金を確保してください。 繰り上げ返済をこまめに行う場合は手数料に注意金融機関によっては、繰り上げ返済を行うための手数料がかかる場合があります。手数料無料にしている金融機関もあれば、数万円程度に設定している金融機関もあります。繰り上げ返済の設定金額も金融機関によって異なります。こまめに繰り上げ返済を行ってしまうと、そのたびに手数料がかかってしまうため、繰り上げ返済の金額を増やして回数を減らすなど、計画的に行いましょう。 住宅ローン控除を優先する方がお得なケースもある住宅ローン控除とは、ローン残高の0.7%分の金額を所得税・住民税から差し引ける制度です。年末時の住宅ローンの残高の0.7%が、住宅ローンの控除限度額とされているので、利息よりも控除で戻ってくる金額のほうが多いケースもあります。住宅ローン控除と繰り上げ返済、どちらを優先させるか見極めるポイントは、金利です。変動金利の場合、店頭金利が2%台であっても、メガバンクで0.5~0.6%、ネット銀行の場合はさらに低く、0.4%台の住宅ローンもあります。金利0.7%以上の場合は繰り上げ返済をした方がおすすめですが、金利0.7%未満の場合は、住宅ローン控除を優先させた方が得をする可能性が高いです。住宅ローン控除の適用期間中に繰り上げ返済をすると、繰り上げ返済で軽減された利息分は得をしますが、それ以上に住宅ローン控除で戻ってくる税金が少なくなってしまうからです。とは言っても、住宅ローン控除は返済期間を短縮することも利息を減らすこともできません。早めに返済期間を短縮させたい、利息を減らして住宅ローンのプレッシャーから少しでも解放されたい、ということであれば繰り上げ返済を優先することも間違いではありません。自分にとってベストな選択をしてくださいね。 [5]繰り上げ返済を行うときの流れ 繰り上げ返済は、基本的に以下のような流れで行います。1.余剰資金の確認手元の資金から生活費や万が一の時の貯蓄を除き、余剰資金がどれだけあるか確認します。2.繰り上げ返済に充てる金額を決める余剰資金から、繰り上げ返済に充てる金額を決めます。繰り上げ返済を行うときの手数料や最低返済可能額を金融機関に確認しておきましょう。3.期間短縮型と返済額軽減型、どちらかを選択する期間短縮型と返済額軽減型のうち、どちらの方法で繰り上げ返済を行なうか決めます。4.繰り上げ返済の申請住宅ローンを借入れしている金融機関へ、繰り上げ返済の申請を行ないます。申請方法は金融機関により異なりますが、主に店頭やインターネットからの申請が可能です。5.返済預金口座へ繰り上げ返済資金を入金指定された口座へ繰り上げ返済の資金を入金します。繰り上げ返済を行なう際、インターネットで簡単に手続きができる金融機関もあれば、事前に申請が必要な金融機関もあります。繰り上げ返済の申請方法は金融機関により異なるため、詳細は金融機関に確認してください。 [6]まとめ 繰り上げ返済は『やった方がよい』ですが『無理のない範囲で』行いましょう!早い段階で繰り上げ返済をした方が利息を減らすことができるので、家計に余裕があるのならぜひ積極的に取り入れていただきたいです。手持ちの資金が減ってしまうリスクはありますが、今回解説した繰り上げ返済を行うときの注意点をおさえて、家計に余裕がある時に資金を繰り上げ返済に充てて、利息を減らしていきましょう。 来店相談の詳細・予約はこちら クリック↓↓↓ おすすめ 能登半島地震で太陽光パネルに注意喚起-被害を起こさないための対策や設置するメリットデメリット 2024.03.01 住宅ローンの基礎知識(公的ローンと民間ローン・金利について) 2022.02.18 「脱東京」はもう終了?コロナ前よりも東京の人口が増加している 2022.07.12