『頭金なし・自己資金なし』でも家は買える?

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『頭金なし・自己資金なし』でも家は買える?

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マイホーム購入は一生に一度の大きな買い物。価格もとても高額です。頭金を貯めたくても、なかなか貯まらない…自己資金も少ない…

いっそのことフルローンで住宅ローンを組んでしまおうかと検討されている方もいらっしゃるかと思います。

そこで当コラム最初の記事は「頭金や自己資金がなくても家を買えるのか」というテーマでお話ししたいと思います。

[1] 頭金と自己資金の違い

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マイホーム購入資金を考えた時に、頭金と自己資金を混同されている方がいらっしゃいますので、まずはそれぞれの違いをご説明いたします。

頭金とは

頭金とは、物件価格の一部を最初に支払うお金のことです。最初に頭金としてまとまった金額を支払っておくので、借入金額を少なくすることができます。

自己資金とは

物件購入時に住宅ローン以外で用意する必要のあるお金のことを指す場合もありますが、その考え方だと、貯金をすべて住宅購入費に使い切ることになります。それは絶対に避けていただきたいので、基本的には貯金の中から「絶対に手元に残すお金」を引き、残ったお金を自己資金に充てるとお考えください。

「絶対に手元に残すお金」とは、たとえば、万が一の時の貯金や車検代、お子様の入学金などの直近で必要なお金です。

そして、物件購入時に現金で必要なお金も自己資金に入れておきます。印紙代や仲介手数料などの諸費用は住宅ローンに組み込めるので良いとして、必ず現金で用意しておいて欲しいお金は以下の2つです。

手付金・引っ越し費用

なぜこのふたつが絶対に必要なのか?それについては後述します。

[2]頭金の相場はいくら?

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住宅金融支援機構(2018年度フラット35利用者調査)によると、頭金の割合は以下のとおりになります。

【2018年度】フラット35利用者の頭金
注文住宅636.5万円
土地付注文住宅447万円
新築建売住宅293.2万円
中古一戸建て203万円
新築マンション714.1万円
中古マンション310万円

2018年度フラット35利用者調査(融資区分別)による

https://www.jhf.go.jp/files/400350205.pdf

住宅種別によってもかなり金額差がありますね。新築マンションにいたっては、なんと714万円!年収と比較するのもおかしいかもしれませんが、日本人の平均年収436万円(令和2年9月に発表された国税庁による調査)を大きく上回っています。おそらく、ここ数年の新築マンション・タワーマンションブームの影響が大きいのかもしれません。

このようなデータを見ると、自分には無理だ…と諦めてしまいそうになりますが、あくまでも目安として参考にしてくださいね。

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[3]頭金なし・自己資金なしでも家は買える?

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さて、いよいよ本題です。頭金や自己資金なしでも家を買うことはできるのでしょうか

1.「頭金は2割必要」は過去の話
まさかまだ信じている人はいませんよね?「家を買う時、頭金は2割必要」論

これは長らく議論されてきた話ですが、正直時代遅れです。都市伝説に近いと言っても良いでしょう。頭金はあれば越したことはないですが、なくても家は買えます。2割貯めなくても住宅ローンも組めます。

では、なぜ「頭金は2割必要」論が広まったのかというと、昔の金融機関は物件価格の8割までしか融資をしなかったからです。8割までしか融資をしないということは、残りの2割は自己資金(頭金)を払わなければいけません。つまり、2割の頭金を用意しないと住宅ローンを組めなかったのです。

その名残が今でも残っていて、「頭金は2割必要」と言われ続けているというわけです。あとは、金融機関やファイナンシャルプランナーが頭金について説明する時に、「頭金は2割必要」と言っておけばとりあえず安心、という理由もあるでしょう。

確かに、頭金はあればあるほど借入金額を抑えることができますから、ないよりはある方が良いです。しかし、「2割貯まるまで家を買うことを我慢する」「頭金がないと家を買えない」という思い込みは危険です。貯金をしている間にどんどん高齢になっていきます。団体信用生命保険に加入できなくなるかもしれません。今、せっかく低金利なのに、頭金が貯まった頃には金利も上がっているかもしれません。

2.最低限の自己資金は絶対に必要
それでは、貯金ゼロで今すぐ家を買っても良いのかというと、それも違います。頭金はあってもなくても家は買えますが、最低限の自己資金は必要です。

ここで、家を買う時に必要な費用をチェックしてみましょう。最低限いくら用意すれば良いのかは表の下にまとめておきますので、お急ぎの方は表の下までスクロールしてくださいね。

費用価格の目安
仲介手数料(中古の場合)物件価格の3%+6万+消費税
印紙代契約の金額によって変わります。
売買契約時の手付金物件価格の5~10%(100万円程度かかることが多い)
登記費用20万円が相場。
ローン保証料借入金額の2~3%
金融機関融資手数料物件価格の5%前後(3~5万円程)
火災保険料10万円~30万円(10年に1回更新)
固定資産税所有権の移転日から年末までの固定資産税の日割分を売り主に支払う。
引っ越し費用15~20万円前後
家具購入費用80~150万円程度

この中で、絶対に自己資金で用意しておくべき費用は、売買契約時の手付金引っ越し費用です。ざっくり見積もって120万円は用意しておきたいところ。

他の諸費用については、住宅ローンに組み込んで支払えるのですが、手付金は現金で支払います。この手付金が用意できないと売買契約を締結できません。つまり、手付金がないと家を買えないのです。筆者の友人も、フルローンで住宅ローンを組みましたが、「手付金を必死でかき集めた」と言っていました。

引っ越し費用については、クレジットカード払い対応の会社もありますが、そもそも15~20万円程度の引っ越し費用も現金で用意できない場合は、家計がかなり苦しい状況なのではないでしょうか。家の購入自体を再検討した方が良いかもしれません。

[4]自己資金ゼロで家を購入することが難しい理由

頭金はなくても家は買える、自己資金ゼロでは家を買うことは難しい。その理由を詳しく説明します。

1.手付金の支払いができない=売買契約を結べない

自己資金が少ない人が家を買うことを検討した時、手付金を用意できるかが「家を買えるか買えないか」の分かれ道になります。

手付金は、物件価格から支払った分が最終的に差し引かれますが、売買契約時に現金で用意できなければ契約を拒否されることもあります。

手付金がいくらになるかは売主と買主との合意の上で決定するので、相場というものはありません。ただ、売主としては簡単にキャンセルされても困るので、手付金の金額は数万円程度で済むことはありません。数万円程度に設定してしまうと、買主から「やっぱり気が変わったのでキャンセルします」と契約をキャンセルされてしまう可能性があるからです。それでは売主が困ってしまいますよね。

売主によっては、手付金50万円程度に設定している場合もありますが、稀なケースです。多くの場合、100万円程度かかります。そして、売買契約日に現金で支払うことが原則です。

自己資金がない場合、手付金をどのように用意するかがポイントになってきます。方法はふたつ。親から資金援助を受けるか、自分で貯金するかです。

フルローンで住宅ローンを組めば、手付金が引渡しの日に通帳に戻るので、親から一時的にお金を借りて引き渡し日以降にお金を返すという方が多いですね。親から資金援助を受ける方は珍しくないので、借りられる環境であるなら、お願いしてみてはいかがでしょうか。

2.住宅ローンの審査に通りにくくなってしまう

頭金がなくても住宅ローンは組めますが、貯金もまったくない状態ですと、さすがに金融機関の目も厳しくなってしまいます。

金融機関が最も重視するのは「この人はちゃんと毎月返済できるのだろうか?」ということ。フルローンを取り扱っているからといって、審査が甘くなるわけではないのです。むしろ、頭金や自己資金が多い方よりもやや不利になることもあります。

住宅ローンの審査に通るか不安な方は、不動産会社に相談してみてください。自己資金が少なくてもフルローンを組みやすく、比較的審査に通りやすい金融機関を紹介してもらえることがあります。

[5]お金が貯まるまで家を買うことを待つデメリット

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「お金が貯まるまで家を買うのは待った方が良いですか?」という質問はよくいただきます。正直、買えるのなら早く買った方が良いです!その理由を4つご説明いたします。

理由1:高齢になってしまう

お金を貯めているうちに高齢になってしまいます。500万円貯めるとして、何年かかるのでしょう?5年?10年?どんどん年齢を重ねていきますよね。高齢になると、健康上の不安もでてきます。もし病気になったら、住宅ローンを組む上で必須条件である団体信用生命保険(団信)に加入できなくなります。団信に加入できない=住宅ローンを組めないということです。

そして、健康上の不安だけではなく、住宅ローンの借入期間も短くなってしまうので、結果的には頭金を貯めた意味もなくなってしまうかもしれません。

理由2:家賃がかかる・万が一の時に不安

お住まいの住居が賃貸なら家賃がかかりますし、2年毎に更新料もかかります。賃貸は家賃を払っても何も残りません。賃貸は「家を買うよりもコストがかからない」というイメージをお持ちの方も多いかもしれませんが、持ち家は資産として残ります。また、持ち家のように万が一のことが起きたときの保障(団信)もないので、万が一、病気や事故などで働けなくなったときに家賃の支払いに困らない様に、ある程度の貯蓄も必要になります。

理由3:金利が上がってしまう可能性がある

ここ数年は超低金利時代といわれています。これ以上金利が下がることは考えにくく、むしろ上がる可能性の方が高いでしょう。たとえば同じ3,000万円の物件を35年返済で住宅ローンを組んだとします。金利が3%の場合は月々の返済額は11万円、1%だと8万円です。同じ物件でも金利が違えば月々の返済額に3万円以上の差が出るのです。非常にもったいないですよね。住宅ローンも審査も現在はまだそれほど厳しくはないですが、今後審査基準が厳しくなるという噂も聞きます。

理由4:理想の物件を買い逃してしまう

欲しいタイミングで、希望の物件が見つかる保証はありません。奇跡に近いです。同じ物件はこの世にひとつとしてありません。お金を貯めることに固執して、理想の物件を買い逃してしまうのは非常にもったいないです。お住まい探しは巡り合わせですので、買える状況にあるのなら、そのチャンスを逃さないでくださいね。

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[6]まとめ

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お金を貯めることに固執して、「買い時」を逃さないで!

必ず用意すべきお金は、「手付金+引っ越し代」です。この2つを用意しておけば、頭金がなくても家は買えます。もちろん、記事内で説明したとおり、「絶対に手元に残すお金」はよけておいてくださいね。

お金の心配は尽きないですが、たくさん貯まるまで家を買うのを待つというのは得策ではありません。つい頭金ばかり固執してしまいがちですが、家を買うタイミングを逃す方が実はリスクが大きいのです。まずは自分に合った住宅予算を出し、資金計画を立ててみましょう。

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