【住宅ローン控除とふるさと納税の併用】確定申告とワンストップ特例制度、どちらが得? 投稿公開日:2024.06.21 投稿カテゴリー:blog / 税金・制度 【住宅ローン控除とふるさと納税の併用】確定申告とワンストップ特例制度、どちらが得? ——————–【目次】[1]住宅ローン控除とは[2]ふるさと納税とは1.ふるさと納税を利用するメリット2.ふるさと納税の返礼品[3]ふるさと納税の利用するための手続きは2つ1.確定申告2.ワンストップ特例制度[4]確定申告で併用をする場合は住宅ローン控除に影響が出る[5]ワンストップ特例制度が便利!ただし注意点も1.確定申告が必要な人は利用できない2.住宅ローン控除の1年目も利用できない[6]併用するとどのくらい節税できる?1.確定申告で併用をする場合2.ワンストップ特例制度で併用をする場合[7]確定申告とワンストップ特例制度、どっちが得?[8]まとめ——————– ◆個別のご相談はこちら◆ 【無料】来店相談 【無料】電話相談 住宅ローン控除とふるさと納税は、どちらも利用できればとてもお得な制度です。これらの制度は併用可能ですが、注意点がいくつかあります。 住宅ローン控除とは 住宅ローン控除、正式には住宅借入金等特別控除といいます。この制度は、住宅ローンを利用して住宅を購入した方を対象とした制度です。年末時点のローン残高の0.7%が所得税から控除され、控除額が所得税を超える場合には住民税からも控除されます。控除の上限は所得税の課税総所得金額等の5%以下(最高9万7,500円)です。住宅ローン控除の上限は、控除額が納めた税金を超えることはありません。控除される額は、納めた所得税と住民税の合計によって決まります。実際には、年末時点のローン残高の0.7%よりも低い金額しか控除されないことが多いです。毎年最大控除額が戻ってくると期待するとガッカリするので、住宅ローン控除の仕組みを理解しておきましょう。 ふるさと納税とは ふるさと納税は、納税者が自分の選んだ地方自治体に寄付を行う制度です。所得税からの控除は行われず、その分も含めた控除額の全額がふるさと納税を行った翌年度の住民税の減額という形で控除される仕組みです。ふるさと納税は、寄付を行った金額の一部が所得税や住民税から控除されるだけでなく、寄付先の自治体から地域の特産品などの返礼品を受け取ることができるのが特徴です。この制度により、納税者は自分の応援したい地域を支援することができ、地方自治体は寄付金を活用して地域振興や住民サービスの充実を図ることができます。 ふるさと納税を利用するメリットふるさと納税は住宅ローン控除のような節税のための制度ではありません。簡単に言うと、自己負担額2,000円で返礼品を受け取れるお得な制度です。ふるさと納税を利用するメリットは、主に以下のものが挙げられます。メリット1: 自己負担額が低い自己負担額は2,000円のみで、それ以上の部分は税金から控除されます。たとえば、とある自治体に12,000円寄付した場合、自己負担額2,000円を超える10,000円は税金から控除されます。メリット2:税控除ふるさと納税を行うことで、所得税や住民税の控除が受けられます。寄付金額のうち、自己負担額2,000円を超える部分については、原則として全額が控除対象となります。控除の上限額は所得や家族構成によって異なります。メリット3:返礼品を受け取れる 寄付先の自治体からの返礼品として、その地域の特産品や名産品がもらえます。これには農産物、海産物、お肉、お酒など、地域の魅力的な商品が含まれます。普段手に入らない地方の名産品を楽しむことができます。メリット4:地域貢献ができる寄付を通じて、応援したい地域や自治体の活性化に貢献することができます。地方自治体は寄付金を使って地域振興や公共サービスの充実を図ることができ、寄付者としても社会貢献の実感が得られます。 ふるさと納税の返礼品ふるさと納税制度は、実質2,000円で豪華な返礼品がもらえるため、自治体間で競争が激化しました。この競争の結果、寄付金の半分以上が本来の目的とは異なる家電製品やギフト券などに流れるケースが増えました。この問題に対応するため、総務省はふるさと納税に関する法律を改正し、返礼品の過剰な競争を抑える方針を打ち出しました。改正では、総務大臣が対象となる地方団体を厳選し、それ以外の寄付はふるさと納税の対象外とすることで、制度の健全な運営を目指しています。具体的には、①募集適正実施基準の設定、②返礼品の割合を3割以下に抑えること、③地域産品を重視する基準の導入などが含まれています。これにより、ふるさと納税が本来の地域振興や復興支援の目的に即した形で運営されることが期待されています。参考:総務省自治税務局ふるさと納税指定制度における令和元年6月1日以降の指定等について ◆個別のご相談はこちら◆ 【無料】来店相談 【無料】電話相談 ふるさと納税の利用するための手続きは2つ ふるさと納税を利用するには、確定申告をするかワンストップ特例制度を利用する方法があります。 確定申告ふるさと納税を行った場合、個人事業主などは確定申告を通じて寄付を申告する必要があります。自治体からは寄付を証明する書類(受領書)が提供され、これを翌年の確定申告に添付します。具体的に確定申告が必要な例は以下のとおりです。・個人事業主や自営業者・住宅ローン控除1年目の人・複数の雇用主から給与を受け取っている人・給与以外の所得が20万円を超える人・給与所得者でも医療費控除の申告が必要な人・給与所得者で年収が2,000万円以上の人・5自治体を超える自治体にふるさと納税をした人・寄付した自治体の中で、ワンストップ特例の申請をしていない自治体がある人 ワンストップ特例制度ワンストップ特例制度は、「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を寄付先の自治体に送るだけで寄付金控除が受けられ、確定申告が不要です。不要というよりは、確定申告をすると利用できません。そのため、個人事業主や自営業者の方や会社員で住宅ローン控除1年目の方はワンストップ特例制度を利用できないのでご注意ください。ワンストップ特例制度の利用条件・確定申告をする必要がない給与所得者であること・寄付を行った年間総数が5自治体以内・ふるさと納税の申し込みごとに、自治体へ申請書を提出している(同じ自治体でも寄付ごとに申請が必要です) 確定申告で併用をする場合は住宅ローン控除に影響が出る ふるさと納税を確定申告する際には、住民税と所得税の両方から控除が受けられますが、このとき注意が必要なのが、住民税から控除される住宅ローン控除の上限です。ふるさと納税分の控除は所得税から先に引かれ、その後に住宅ローン控除が適用されるため、所得税から控除しきれなかった住宅ローン控除分が住民税に回ることになります。しかし、住民税からの住宅ローン控除には「前年度課税総所得額×7%(上限13万6,500円)」という制限があるため、この上限を超えると住宅ローン控除を満額受けられない可能性があります。 ワンストップ特例制度が便利!ただし注意点も 先述したとおり、確定申告でふるさと納税を利用する場合は住宅ローン控除に影響を及ぼす可能性があります。ワンストップ特例制度であれば控除対象は住民税のみなので、所得税の住宅ローン控除を減らさずにふるさと納税の控除を受けることが可能です。そういった意味でワンストップ特例制度がおすすめではありますが、利用する際は注意点があります。 確定申告が必要な人は利用できない確定申告が必要な人はこの制度を利用できません。確定申告を行うことで、ふるさと納税の控除が所得税にも適用されるため、特例制度の対象外となります。給与所得者でも副業収入があったり、医療費控除や雑損控除を受ける必要があったりする場合など、確定申告が必要な場合にはワンストップ特例制度を利用できません。 住宅ローン控除の1年目も利用できない住宅ローン控除の1年目もワンストップ特例制度を利用することができません。住宅ローン控除の初年度は、住宅ローンの借入状況や住宅の取得状況を申告するために確定申告を行う必要があるためです。2年目以降は年末調整で対応可能となりますが、初年度は確定申告が必須となるため、ワンストップ特例制度は適用されません。 ◆個別のご相談はこちら◆ 【無料】来店相談 【無料】電話相談 併用するとどのくらい節税できる? 住宅ローン控除とワンストップ特例制度を併用するどのくらい節税できるのかシミュレーションしてみましょう。 確定申告で併用をする場合確定申告で併用する場合のシミュレーションは以下のようになります。【設定条件】年収600万円夫婦共働き住宅ローン控除:30万円所得税:約20万円(年間)住民税:約31万円(年間)住宅ローン控除:約30万円(年間)全額控除されるふるさと納税上限額:約7万7,000円(年間)うち自己負担2,000円まずは所得税20万円からふるさと納税の控除額7万5,000円を引くと、残りは12万5,000円です。次に所得税の残り12万5,000円から住宅ローン控除30万円を引くと、控除しきれない17万5,000円が残ります。この17万5,000円は住民税から控除されます。しかし、住民税から控除される住宅ローン控除には「13万6,500円」という上限があります。住宅ローン控除の満額30万円を控除しきれず、3万8,500円分の住宅ローン控除が受けられず、控除額が低くなってしまいます。 ワンストップ特例制度で併用をする場合続いて、ワンストップ特例制度で併用する場合のシミュレーションです。【設定条件】年収600万円夫婦共働き住宅ローン控除:30万円所得税:約20万円(年間)住民税:約31万円(年間)住宅ローン控除:約30万円(年間)全額控除されるふるさと納税上限額:約7万7,000円(年間)うち自己負担2,000円まず、所得税20万円から住宅ローン控除30万円のうち20万円が控除されます。残りの10万円は住民税から控除されます。住民税からの住宅ローン控除は上限額13万6,500円以内に収まるため、満額の住宅ローン控除が受けられます。さらに、住民税からふるさと納税分の7万5,000円も控除されるため、住宅ローン控除とふるさと納税の両方で満額の控除を受けることが可能です。 確定申告とワンストップ特例制度、どっちが得? 確定申告とワンストップ特例制度のどちらが得なのかは、個々の状況に応じて異なります。以下に、それぞれのメリットとデメリットをまとめてみました。 【確定申告のメリット】・複数の控除を受けられる医療費控除や雑損控除など、ふるさと納税以外の控除も一緒に申請できます。 ・大きな控除がある場合に有利所得税と住民税の両方からふるさと納税の控除が受けられます。 ・納税額が大きい人に有利所得税からの控除が大きくなるため、ふるさと納税のメリットが最大限に生かせます。 【確定申告のデメリット】・手続きが面倒確定申告書の作成や提出が必要で、手間がかかります。 ・住宅ローン控除の影響があるふるさと納税を先に控除するため、住宅ローン控除の適用が制限される場合があります。 【ワンストップ特例制度のメリット】・手続きが簡単確定申告を行う必要がなく、申請書を提出するだけで済みます。 ・住宅ローン控除に影響がないふるさと納税の控除は住民税からのみ行われるため、住宅ローン控除に影響を与えません。 【ワンストップ特例制度のデメリット】・確定申告が必要な人は利用できない医療費控除や副業収入がある場合など、確定申告が必要な人は利用できません。住宅ローン控除の初年度は利用不可:初年度は確定申告が必要なため、この制度を利用できません。 まとめ 住宅ローン控除とふるさと納税の併用する際、確定申告が必要ない人や住宅ローン控除の初年度ではない人には、ワンストップ特例制度が手続きの簡便さと所得税への影響のなさからおすすめです。一方、確定申告が必要な人やふるさと納税の金額が大きく、複数の控除を受けたい人には確定申告が向いています。どちらの制度を選ぶにせよ、自身の税務状況をよく確認し、最大のメリットを得られる方法を選択することが重要です。 おすすめ 新築と中古の違いって?費用や住宅ローン控除について解説します! 2022.01.06 注文住宅を購入するまでの流れと注意点 2022.02.04 セットバックとは?セットバック付きの土地を購入する時の注意点 2024.03.14