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2024年以降『住宅ローン控除』はどうなる?

2024年以降『住宅ローン控除』はどうなる?

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2024年以降、住宅ローン控除が大きく変わります。なんと、省エネ基準を満たしていない新築住宅は住宅ローン控除の適用外になってしまうのです。「2024年にはマイホームを…」と考えていた方には衝撃の内容かもしれません。記事内で詳しく解説します。

[1]住宅ローン控除のおさらい

当コラムでは何度か住宅ローン控除について解説していますが、この章では改めてその基本的な仕組みをおさらいしてみましょう。

住宅ローン控除は、住宅を購入する際に利用する住宅ローンを対象とした税制優遇策です。一般的には「住宅ローン控除」や「住宅ローン減税」と呼ばれていますが、正式な名称は「住宅借入金特別控除」といいます。

この制度では、年末時点での住宅ローン残高の0.7%相当額が、給与などから支払った所得税から差し引かれます。控除される額が所得税よりも多い場合は、その残りが翌年度の住民税額から差し引かれます。

ただし、住民税の最大控除額は「前年の課税所得×5%(最大9.75万円)」となり、9万7500円が上限です。その年の所得税から引ききれない分は、翌年度の住民税減額に充てられます。

ここでひとつ注意していただきたいのは、「控除される額は、納めた税金を上回ることはない」という点です。控除額は、納めた所得税と住民税の合計によって決まります。毎年最大控除額で戻ってくると思っている方が多いですが、実際には、年末時点でのローン残高の0.7%よりも低い金額しか控除されません。

[2]住宅ローン控除の改正について

2022年度の税制改正において、住宅ローン減税に関する内容が見直されました。この章では、改正された背景やその内容を説明します。

住宅ローン控除が改正された背景

改正された背景には以下のような理由があります。

・カーボンニュートラルの実現
政府が掲げる「2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする」目標に向け、環境に配慮した高性能住宅の普及が促進されることが必要です。改正では、長期優良住宅の要件が強化され、省エネ性能が高い「良質な住宅」が中古住宅にも認められ、借入限度額も住宅性能に応じて上乗せされる措置が盛り込まれました。

・「逆ざや」の解消
住宅ローン控除の控除率が1%から0.7%に引き下げられたのは、住宅ローンの低金利によって生じていた「逆ざや」を解消するためです。現在の住宅ローン市場では0.7%以下の金利が一般的となりつつあります。改正前は1%の控除率が住宅ローン金利を上回り、逆ざやが生じていましたが、改正で0.7%に引き下げられたことで、逆ざやが緩和されることが期待されています。

改正された内容

住宅ローン控除が改正され、概要は以下のとおりです。

・適用期限
令和7年12月31日まで期間延長(改正前は令和3年までの入居)

 
・控除率
新築住宅も中古住宅(既存住宅)も一律で0.7%(改正前は1%)

 
・利用者の所得制限
合計所得金額2,000万円以下(40㎡以上50㎡未満の物件は、所得制限は1,000万円以下でなければ控除対象外)

 
・控除期間が細分化
省エネ住宅と買取再販住宅…13年
省エネ住宅以外…2024年以降の入居から10年間
中古住宅の控除期間…10年

 
・中古住宅の築年数要件の緩和
中古住宅における築年数要件が、「昭和57年以降に建築された住宅」(新耐震基準適合住宅)に緩和されました。

 
・新築住宅の床面積要件の緩和
新築住宅の床面積(マンションは内法面積)要件が50㎡以上から40㎡以上に緩和されました。ただし、この緩和は合計所得金額が1,000万円以下の場合に限ります。

 
・借入限度額の細分化
改正前は「長期優良住宅・低炭素住宅は5,000万円、それ以外は4,000万円」という具合にざっくりと定められていましたが、改正後は適用対象となる住宅の環境性能や入居した年によって細分化されました。

 
・住宅ローン控除の適用要件
「2023年12月31日までに建築確認を受けている」か「2024年6月30日までに建築されたもの」のみ対象

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[3]2024年以降、住宅ローン控除はどうなる?

住宅ローン減税の控除額は入居時期によって変動するため、2024年以降に入居すると控除額が引き下げられます。同様に、省エネ基準に適合していない一般の新築住宅については、建築確認や建築時期によっては住宅ローン控除の対象外になります。2024年以降、住宅ローン控除はどうなるのでしょうか?

2024年6月末までに建築できなければ、住宅ローン控除の適用外

たとえ2024年6月末までに建築できて適用されたとしても、2024年以降の入居では借入限度額が3,000万円から2,000万円に縮小し、控除期間も13年から10年に減少してしまいます。

ちなみに、入居日は契約日や引き渡し日ではなく、「実際に居住を始めた日」が基準となります。つまり、建物が完成していても、実際の居住がスタートしていない場合は、居住年として認められないためご注意ください。(実際に居住が始まっていることが前提となりますが、住民票の転入日と考えても問題ありません)

省エネ基準を満たさない新築住宅は控除を受けられない

省エネ基準を満たさない新築住宅は、「その他の住宅」に分類されます。2023年末までに新築の建築確認を受けているか、2024年6月30日までに建築されている場合のみ2024年以降も10年間住宅ローン控除の対象となりますが、「その他の住宅」については、2024年以降は住宅ローン控除の対象外となります。

以下に分かりやすく表にしましたので、ご確認ください。

入居年控除率減税期間借入限度額最大控除額
長期優良住宅・低炭素住宅2022・2023年0.7%13年5,000万円455万円
2024・2025年0.7%13年4,500万円410万円
省エネ基準適合住宅2022・2023年0.7%13年4,000万円364万円
2024・2025年0.7%13年3,000万円273万円
ZEH水準省エネ住宅 ゼロ 2022・2023年0.7%13年4,500万円410万円
2024・2025年0.7%13年3,500万円319万円
その他の住宅2022・2023年0.7%13年3,000万円273万円
2024・2025年0.7%10年適用外※1140万円※2

※1 … 2023年12月31日までに建築確認を受けた住宅、または登記簿上の建築日付が2024年6月30日以前の住宅については、借入限度額2,000万円、控除期間10年間として住宅ローン減税が適用されます

※2 …2023年までに新築の建築確認がされている場合

住宅の性能に応じて借入限度額が変わる

住宅の環境性能に応じて、より詳細に制限が設けられるようになりました。

●新築住宅・買取再販の借入限度額

2022〜2023年に入居2024〜2025年に入居
長期優良住宅・低炭素住宅5,000万円4,500万円
ZEH水準省エネ住宅4,500万円3,500万円
省エネ基準適合住宅4,000万円3,000万円
その他の住宅3,000万円0円※

※ 2023年12月31日までに建築確認を受けた住宅、または登記簿上の建築日付が2024年6月30日以前の住宅については、借入限度額2,000万円、控除期間10年間として住宅ローン減税が適用されます。

●新築住宅・買取再販の控除額の上限(1年あたりの控除上限額×控除期間)

2022〜2023年に入居2024〜2025年に入居
長期優良住宅・低炭素住宅35.0万円×13年=455.0万円31.5万円×13年=409.5万円
ZEH水準省エネ住宅31.5万円×13年=409.5万円24.5万円×13年=318.5万円
省エネ基準適合住宅28.0万円×13年=364.0万円21.0万円×13年=273.0万円
その他の住宅21.0万円×13年=273.0万円14.0万円×10年=140.0万円※

※2023年までに新築の建築確認がされている場合

●中古住宅(既存住宅)の借入限度額

住宅の種類2022〜2025年に入居
長期優良住宅・低炭素住宅 ・ZEH水準省エネ住宅 ・省エネ基準適合住宅 3,000万円
その他の住宅2,000万円

●中古住宅(既存住宅)の控除額の上限(1年あたりの控除上限額×控除期間)

住宅の種類2022〜2025年に入居
長期優良住宅・低炭素住宅・ZEH水準省エネ住宅・省エネ基準適合住宅 21万円×10年=210万円
その他の住宅14万円×10年=140万円

省エネ基準を満たしていることを示す証明書が必要

2024年に新築住宅に入居する場合の住宅ローン控除の申請の際には、以下の書類の提出が必要となります。

●認定長期優良住宅、認定低炭素住宅、ZEH水準省エネ住宅、省エネ基準適合住宅のいずれかである場合

・上記住宅にそれぞれ該当することを証する書類

(床面積が40㎡以上50㎡未満である場合は、2023年12月31日以前に建築確認を受けたことを証する確認済証又は検査済証の写しの提出が必須となります)

 

●ZEH水準省エネ住宅・省エネ基準適合住宅を取得した場合

以下の[1][2]の書類のうち、いずれかの書類が必要です。

[1]建設住宅性能評価書

[2]住宅省エネルギー性能証明書

詳しくは「国土交通省のホームページ 住宅ローン減税」をご確認ください。

[4]住宅の種類でみる買い時

2023年入居は間に合わなかった場合、2024年以降に家を買うならいつがいいのでしょうか。考えるポイントとしては、住宅の種類です。

●省エネ基準を満たした新築住宅
2023年12月31日までに建築確認を受けた住宅、または登記簿上の建築日付が2024年6月30日以前の住宅については、借入限度額2,000万円、控除期間10年間として住宅ローン控除が適用されます。ただし、省エネ基準を満たした新築住宅はまだ多くありません。省エネ住宅は今後需要が高まる可能性もありますので、人気の物件は早い者勝ちです。建築済で即入居できる物件があれば早急に動きましょう。

●省エネ基準を満たしていない「その他の住宅」
その他の住宅については、2024年以降は住宅ローン控除の対象外となりますので、どうしても住宅ローン控除を活用したいのであれば、建築済で即入居できる省エネ基準を満たした新築住宅を検討されてみてはいかがでしょうか。

●中古住宅
中古住宅の場合は、入居年に関係なく2023年も2024年も同条件で住宅ローン控除を受けられます。また、中古住宅であればすでに物件は完成していて入居までの期間も短いことから、新築住宅よりも余裕を持って検討できるでしょう。現在の住宅ローン控除の期間は2025年末までとなっているため、それまでにじっくりと適した物件を探してみてください。

[5]まとめ

2024年以降に家を買う場合、省エネ基準を満たしていない新築住宅は住宅ローン控除の適用外となります。しかし、省エネ基準を満たしている新築住宅の普及はまだ多くありません。

「2023年の入居が間に合わなかった」「省エネ基準を満たしている新築住宅でなくてもよいから2024年は家を買いたい」という方はミツバハウジングまでご相談ください。中古住宅であれば入居年に関係なく2024年も同条件で住宅ローン控除を受けられますし、豊富な物件数の中から希望に合った家を探せます。

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吾輩は猫である。名前はまだない。どこで生れたか頓と見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。