フリーランスが住宅ローン組むときの注意点-経費や住宅ローン控除についても解説

フリーランスが住宅ローン組むときの注意点-経費や住宅ローン控除についても解説

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この記事では、フリーランスが住宅ローン組むときの注意点を解説しています。 『自宅兼事業所』としている場合の経費や住宅ローン控除についてもあわせて解説しますので、今現在フリーランスの方はもちろん、これから開業する予定の方にも参考になれば幸いです。

『自宅兼事業所』としている場合の経費について

フリーランスの方は、自宅を事務所と兼用している方も多いかと思います。その場合、住宅ローンは経費として計上できるのでしょうか。

家賃の場合

家賃と住宅ローンでは、経費に計上できるものが異なります。

事務所としてマンションやアパート、貸家などの賃貸物件を利用する場合、家賃や管理費、契約更新料、火災保険料が経費の一部として扱われます。ただし、全額が経費になるわけではなく、事業で使用している割合に応じて計上されます。

経費として計上できるもの
・家賃
・共益費
・駐車場代
・礼金(5年間で均等償却か契約期間で償却)

経費として計上できないもの
・敷金(通常返金されるため)
・プライベートでのみ使用する車の駐車場代

具体例として、家賃が80,000円で利用面積が25平方メートルの場合、事業利用面積の割合に基づいて家賃の一部が経費として計上されます。たとえば、事業利用面積が11平方メートル(約6畳)であれば、80,000円の44%にあたる35,200円が経費として考慮されます。同様に、管理費や契約更新料、火災保険料も同じ割合で計算されます。

住宅ローンの場合

自宅が所有物件で、住宅ローンを組んでいる場合、建物の減価償却費や固定資産税、住宅ローンの金利部分、火災保険料、地震保険料が経費として計上されます。

経費として認められるもの
・建物部分の減価償却費
・住宅ローンの金利
・固定資産税
・管理費や共益費(マンションの場合)

経費として認められないもの
・不動産の購入代金
・住宅ローンの返済額の元本部分

減価償却とは、家の取得費用を法律で定められた年数で分割し、毎年の経費として計上する方法です。詳細については、国税庁のウェブサイト「No.2100 減価償却のあらまし」で確認できます。

家賃は経費で落とせるから得というわけではない

中には、家賃を経費に算入できるために賃貸の方が有利だと考える人もいます。しかし、この考え方には減税効果以外に現金の喪失という側面があります。持ち家は資産として残せますが、賃貸では何も残りません。

また、「フリーランスだから住宅ローンを組むのは不安」という懸念も理解できます。しかし、実際にはフリーランスであるからこそ、資産として残せる持ち家には多くのメリットがあります。

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フリーランスが住宅ローン組むときの注意点

正直、フリーランスが住宅ローンを組むときは、会社員よりも審査が厳しい面があります。しかし、近年はフリーランスの数が増えていて、金融機関も対応に慣れています。ポイントさえおさえておけばフリーランスも住宅ローンは問題なく組めるでしょう。ここでは、住宅ローンを組むときの注意点をいくつか解説します。

多くの金融機関は確定申告3期分が必要

住宅ローンの審査の際、会社員の場合は前年度の源泉徴収票を提出すれば済みますが、フリーランスの場合、一部の金融機関を除いて、直近3期分の確定申告や決算書の提出が必要です。

開業したばかりで直近3期分の確定申告や決算書の提出が難しい場合、「フラット35」なら直近1期分の確定申告で済みます。フラット35の詳細については後述しますが、フリーランスはフラット35を選択されることが多いようです。

重視されるのは売上ではなく所得

フリーランスの所得は、収入から経費を差し引いた額によって算出されます。
中には、節税などの目的で経費を多く計上し、所得を少なく申告している方もいらっしゃることでしょう。フリーランスにとってはよくある裏ワザなのかもしれませんが、住宅ローンを組むときには注意が必要です。なぜなら、所得を少なく申告することで借入可能額が減少したり、住宅ローン審査に通りにくくなったりするからです。

他の借入(滞納履歴やクレジットカードの所有数)にも注意

過去5年以内にクレジットカードの支払いの遅延や延滞何度もした、または債務整理をした場合は、個人信用情報に「異動」という文字が記載されます。この表示があると、住宅ローンの審査に通ることが難しくなります。

また、過去に延滞がなくてもクレジットカードの保有数が多い方もご注意ください。クレジットカードにはキャッシング枠が付帯している場合があり、カードの保有数が多いと、住宅ローンの審査で「他社の借入が多い」とみなされてしまいます。多くても2、3枚程度におさえておきましょう。

無理のない額でローンを組むこと

フリーランスに限った話ではないですが、住宅ローンを組むときは無理のない額を借りましょう。

一般的に無理のない返済負担率は20~25%までと言われます。年収400万円なら、負担率を20%とすると「400万円×20%=80万円」となり、年間で80万円までなら無理なく返済できるということになります。

フリーランスが住宅ローン控除を利用する際の注意点

住宅ローン控除は、年末時点での住宅ローン残高の0.7%相当額が、給与などから支払った所得税から差し引かれる制度です。控除される額が所得税よりも多い場合は、その残りが翌年度の住民税額から差し引かれます。

とてもお得な制度ですが、自宅を事務所と兼用しているフリーランスが直面する問題として、「経費と住宅ローン控除どちらを取るか」があります。

住宅ローン控除は、住居全体の床面積の50%以上が居住用部分でなければ利用できません。税法上、「住居として利用されている部分が床面積の1/2以上であること」という適用条件があります。

 ここでのポイントは、事業用部分を50%超にし、建物自体の減価償却費を必要経費として計上すると住宅ローン控除の対象外となるという点です。

 事業用の床面積を広く設定すると、経費に計上できる金額は増えますが、住宅ローン控除を失うデメリットも考慮しなければなりません。

 住宅ローン控除を受けたい場合は、事業用部分の床面積を10%超50%未満に抑えることで、居住部分に対する控除を受けることができます。さらに、居住用の床面積を90%以上にして、事業用の床面積を10%以下にすれば、全額の住宅ローン控除を受けられます。

参考:租税特別措置法41-29(自己の居住の用に供される部分の床面積若しくは土地等の面積又は増改築等に要した費用の額)

経費と住宅ローン控除のどちらを優先させるかは個人の判断に委ねられますが、居住をメインとしつつ事務所としても機能する場合、事業用の床面積を10%以下に抑えて、住宅ローン控除を全額受ける方がメリットは大きいでしょう。

事業用部分の減価償却費を必要経費に計上する場合の住宅ローン控除の関係は以下のとおりです。

事業用部分の床面積住宅ローン控除
50%以上住宅ローン控除は受けられない
10%超50%未満事業割合分は住宅ローン控除を受けられない
10%以下住宅ローン控除を全額受けられる

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『フラット35』はフリーランスの救世主?

フラット35という住宅ローンはご存知でしょうか。住宅ローンの比較サイトなどで必ずと言っていいほど名前が出るローンなので、ご存知の方も多いでしょう。このフラット35は、フリーランスも利用しやすいローンとして有名です。ローンという商品の特性上、「おすすめです!」とは断言できかねますが、選択肢のひとつとしてご検討いただければと思います。

金利は固定で高いがフリーランスでも審査に通りやすい

フラット35の大きな特徴として「金利は固定で高い」「フリーランスでも審査に通りやすい」「住宅の審査は厳しい」という特徴があります。

…と、ざっくり説明しても分かりづらいでしょうから、まずは、フラット35と民間ローンの違い、利用条件、住宅に対する審査基準以下にまとめましたのでご覧ください。

◎フラット35と民間ローンの違い

フラット35民間ローン
審査比較的ゆるい比較的厳しい
勤続年数規定なし2〜3年以上
年収規定なし200〜400万円以上
ローンの取引履歴民間ほど重視しない (直近3ヶ月の間に延滞があると不可) 非常に重視する (過去2年間に2回以上の延滞があると不可)
選択金利全期間固定変動金利 全期間固定金利 期間選択型固定金利 ミックス型
借入限度額8,000万円最大1億円
年齢制限70歳65歳
団体信用生命保険の加入任意なし

フラット35、フラット35Sの利用条件

申込者の年齢申込時が70歳未満であること。(親子リレー返済の場合は、70歳以上の人でも借入れが可能)
申込者の国籍日本国籍であること。(永住許可を受けている人や特別永住者も可能)
借入額および借入期間100万円以上8,000万円以下で、借入期間は15年以上(満60歳以上の場合は10年)。上限は以下の「1」もしくは「2」の短い年数とします。 1.80歳-申込時の年齢(1年未満切上げ) 2.35年 ※借入期間を20年以下に設定した場合、返済途中に21年以上に変更することはできません。
返済負担率・年収400万円未満の場合:基準が30%以下 ・年収400万円以上の場合:基準が35%以下 ※フラット35の住宅ローン以外に自動車ローンやカードローンなども含みます。

住宅に対する審査基準

一戸建てマンション
接道原則として一般の道に2m以上接すること
住宅の規模(※2)70㎡以上30㎡以上
住宅の規格原則として2以上の居住室(家具等で仕切れる場合でも可)ならびに炊事室、便所及び浴室の設置
併用住宅の床面積併用住宅の住宅部分の床面積は全体の2分の1以上
戸建型式等木造の住宅(※3)は一戸建てまたは連続建てに限る
断熱構造住宅の外壁、天井または屋根、床下などに所定の厚さ以上の断熱材を施工(断熱等性能等級2レベル以上)
住宅の構造耐火構造、準耐火構造(※4)または耐久性基準(※5)に適合
配管設備の点検点検口等の設置共用配管を構造耐力上、主要な壁の内部に設置しないこと
区画住宅相互間等を1時間準耐火構造等の界床・界壁で区画
床の遮音構造界床を厚さ15cm以上(RC造の場合)

※1. 一戸建て住宅等には、連続建て住宅及び重ね建て住宅を含みます。

※2. 住宅の規模とは、住宅部分の床面積をいい、車庫や共用部分(マンションの場合)の面積を除きます。

※3. 木造の住宅とは、耐火構造の住宅及び準耐火構造(※4)の住宅以外の住宅をいいます。

※4. 準耐火構造には、省令準耐火構造を含みます。

※5. 耐久性基準とは、基礎の高さ、床下換気孔等に関する基準です。

参考:【フラット35】新築住宅の技術基準の概要

 

フラット35は、購入する住宅に対する審査基準が厳しいですが、借入する人に対する審査はゆるめです。そのため、年収基準や返済負担率などの要件を満たせば、フリーランスや転職したばかりで勤続年数が短い人も審査に通りやすいと言われています。

金利は全期間固定型のみで、変動金利型は選択できません。固定金利なので金利が高く、その点をデメリットと感じる方もいらっしゃいます。さらに、頭金の額が1割用意できなければさらに金利が高くなります。

2024年5月適用金利で比較(借入期間:21年以上35年以下)

融資率金利の範囲最も多い金利
9割以下年1.830%~年3.360%年1.830%
9割超年1.940%~年3.470%年1.940%

変動金利でいうと1%を切る超低金利時代において、2%近い金利は高く感じますね。頭金があれば審査の際に印象もさらに良くなりますし、金利を抑えるためにも頭金を1割以上用意しておきましょう。

フラット35なら確定申告1期分でOK

先述したとおり、住宅ローンの審査の際、フリーランスは直近3期分の確定申告や決算書の提出が必要です。

その点、フラット35なら直近1期分の確定申告で済みます。これが、フラット35はフリーランスの救世主と言われる理由のひとつですね。金利は高いですが、開業したばかりの方や、3期分の確定申告がたまるまで家の購入を待てないという方にはとてもよい住宅ローンかと思います。

金利の高さや頭金による金利の違い、住宅に対する審査の厳しさなど、デメリットも理解した上でご検討ください。

まとめ

「フリーランスで住宅ローンを組むのは厳しい」「そもそも家を買うこと自体、諦めている」という方もいらっしゃるかもしれません。フリーランスが増加している令和の時代に、そんなことを考えるのはもったいないですよ。フリーランスでも住宅ローンを組むことは可能ですから、諦めないでください。

ミツバハウジングでは、現在フリーランスの方はもちろん、自分がいくらの家を買えるのか知りたいという方のご相談も承っております。メールでもお電話でもかまいません。お気軽にお問い合わせください。

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