住宅ローンの借り換えをするメリットデメリット-向いている人は?

住宅ローンの借り換えをするメリットデメリット-向いている人は?

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2024年3月現在、住宅ローン金利は、10年固定金利と全期間固定金利(フラット35含む)の実質金利が上昇方向にある一方、変動金利は今なお下落し続けています。このような金利情勢で、住宅ローンの借り換えを考える人も多いのではないでしょうか。今回の記事では、借り換えのメリットデメリットや、向いている人を詳しく解説します。

住宅ローンの借り換えとは

住宅ローンの借り換えとは、既存の住宅ローンを新しい住宅ローンに切り替えることを指します。借り換えをする主な目的は、金利の変更や返済条件の改善などによって、ローンの返済期間を短縮したり、金利や月々の支払い額を削減したりすることです。

 

【住宅ローンの借り換えをする主な目的】

◎金利の変更

金利が変動金利から固定金利に変更される場合や、逆に固定金利から変動金利に変更したい場合に借り換えをします。借り換えをすることにより、低い金利に切り替えたり、金利上昇リスクを回避したりすることが可能です。

 

◎返済条件の改善

返済期間の短縮や月々の支払い額の減少を目的として借り換える場合があります。これは、経済的な利益を追求する場合や、生活状況の変化に対応するために行われることがあります。

 

◎追加融資を受ける

新しいローン契約を結ぶ際に、追加の融資を受けることができる場合があります。これは、住宅改修や投資用不動産の購入など、さまざまな目的で資金を調達するために行われることがあります。

 

◎サービスや条件の改善

新しい金融機関に移行することで、団体信用生命保険の保証内容の見直しや、よりよい得点やサービスを受けられる場合があります。

住宅ローンの借り換えをするメリット

わざわざ住宅ローンの借り換えをするにはきっとメリットがあるはず。ここでは、住宅ローンの借り換えをするメリットを解説します。

毎月の返済額や総返済額を減らせる

住宅ローンの借り換えは、現在の住宅ローンの金利よりも低い金利のローンに切り替えることで、毎月の返済額だけでなく、総返済額も削減できる大きなメリットがあります。

実際にシミュレーションしてみましょう。

現在の住宅ローン残高は2,000万円で、残期間は20年。借り換え前の金利は年1.0%(変動金利、完済までこの金利が続くと仮定)、借り換え後の金利は年0.41%(変動金利、完済までこの金利が続くものとします)。

借り換え前借り換え後差額
毎月の返済額9万1,979円8万6,811円5,168円
年間返済額110万3,748円104万1,732円6万2,016円
総返済額2,207万4,960円2,083万4,640円124万320円

※ボーナス返済なし・元利均等返済(借り換えの手数料は計算に含まれていません)

このシミュレーションから、毎月の返済額が5,000円以上も減額されることがわかります。さらに、総返済額も124万円ほど削減できました。ただし、返済期間を極端に短縮すると毎月の返済額が減少しないため、注意が必要です。

返済期間を短縮できる

もし家計に余裕があるなら、返済期間を短縮して借り換えることは総返済額を抑える効果的な手段です。

返済期間が短ければ短いほど、金利負担の総額が小さくなります。そのため、期間を短縮することでさらに金利の負担を軽減できるでしょう。また、予定よりも早くローンを完済できることは、心理的な負担を軽減する面でも有益です。

固定金利への切り替えで金利上昇リスクを回避できる

住宅ローンには、金利の変動に応じて毎月の返済額が変わる「変動金利型」と、借り入れ時の金利が固定される「固定金利型」があります。

一般的に、変動金利型は固定金利型よりも金利が低く設定されており、そのため変動金利型で借りると毎月の返済額が抑えられます。ただし、変動金利型は世の中の金利情勢によって変動するため、金利が上昇すると返済額も増加するリスクがあります。そのため、毎月の返済額や完済までの返済総額が増える可能性がある点に注意が必要です。

固定金利型のローンに借り換えることで、金利上昇による返済額の増加リスクを抑えることができます。

団体信用生命保険の内容を見直すことができる

住宅ローンの借り換える際、現在加入している団体信用生命保険(団信)から手厚い保障内容を持つ団信への切り替えをすることができます。現在加入している団信の内容に不満がある場合は切り替えるチャンスです。

たとえば、7大疾病保障付き住宅ローンなどがあります。ここでいう7大疾病とは、ガン(悪性新生物・上皮内新生物)、糖尿病、心疾患、高血圧性疾患、脳血管疾患、肝疾患、腎疾患のことを指します。これらの疾病に罹患した場合、住宅ローンの残債がゼロになります。

ただし、現在の団信から新しい団信に移行することはできません。そのため、借り換え時には新しい団信への加入が必要となります。住宅ローンの借り換え手続きに加えて、団信の手続きも増えるので面倒に感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、現在の団信の保障内容に不満がある方には、保障の手厚い団信への切り替えはメリットと言えるでしょう。

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借り換えをするデメリット

住宅ローンの借り換えをする主なデメリットは、『費用と手間がかかる』ことです。詳しくみていきましょう。

借り換え手数料などの諸費用がかかる

借り換えをする際のデメリットのひとつは、借り換え手数料などの諸費用がかかることです。

具体的には、「金融機関に支払う費用」と「抵当権変更に関わる費用」が挙げられます。金融機関に支払う費用には、事務手数料や保証料、一括返済に伴う費用が含まれます。一方、抵当権変更に関わる費用には、登録免許税や印紙税、司法書士への報酬などがあります。これらの費用は、借り換えによって得られる利益を上回ることがあるため、慎重な計画と比較が必要です。

以下に手数料の目安をまとめましたので参考にしてください。(金額は金融機関が借入額によって異なります)

印紙税1,000万円を超え5,000万円以下場合:2万円、5,000万円を超え1億円以下の場合:6万円
事務取扱手数料金融機関によって異なりますが、定額で数万円の場合と、借入金額×○○%(税込)のように借入額に応じて決まる場合があります。
保証料借入金額や返済年数によって決まることが多く、数万円~数十万円かかるケースが一般的です。中には、保証料不要の金融機関もあります。
登記関連費用(抵当権抹消費用)登録免許税:土地・建物それぞれ1個あたり1,000円 司法書士への報酬・登記にかかる実費:設定済み抵当権の件数1件につき2万円程度
登記関連費用(抵当権の設定)登録免許税:抵当権設定額(借入額)の0.4% 司法書士への報酬・登記にかかる実費:6万~10万円程度

再度審査を受けなければならない

借り換えを行うには、再度住宅ローンの審査が必要となります。事前審査や本審査、必要書類の準備、旧借入先への融資実行のタイミングを連絡するなど、多くの手間がかかります。

さらに、現在の職歴や収入、転職歴などによって審査に通らない可能性も考えられます。また、団体信用生命保険に再度加入する必要がありますが、健康状態によっては加入ができない場合もあります。その結果、融資を受けられないか、保障範囲が狭まる可能性もあります。

借り換えの際に必要な書類は以下のようになります。あくまで一例ですので、金融機関に確認してください。

・本人確認のための書類
運転免許証やパスポート、住民票謄本

・収入確認のための書類    
源泉徴収票や給与・賞与明細、確定申告書、納税証明書

・物件確認のための書類    
不動産売買契約書
重要事項説明書

※一戸建ての場合は以下の資料も必要

工事請負契約書
建築確認申請書
建築確認済証
検査済証

住宅ローン控除額が減る可能性がある

住宅ローンで住宅を購入すると、住宅ローン控除と呼ばれる税金のメリットを享受できます。購入時期や住宅の性能によって控除の期間や上限に違いがありますが、基本的には入居した年から10年間または13年間、年末時点でのローン残高の0.7%が所得税から差し引かれます。

しかし、住宅ローンの借り換えを行う場合、借り入れ金額や返済期間の設定によっては、住宅ローン控除のメリットが薄れることがあります。さらに、借り換え後に10年以上の返済期間がない場合には、控除の対象となりません。

顧客としての特典が失われる

住宅ローンの中には、グループ会社の商品やサービスを割引価格で利用できる特典が付いているものがあります。

しかし、借り換えを行うと、現在利用している住宅ローンの特典を受けることができなくなります。割引程度ですと大きなデメリットではないかもしれませんが、手厚い内容の団信に加入している場合は、慎重に検討する必要があります。

住宅ローンの借り換えに向いている人は?

住宅ローンの借り換えをすると得をするのはどのような人でしょうか。 ・借り換え前と借り換え後のローンの金利差が1%以上ある人 一般的に、借り換えで有益な金利差は1.0%以上とされています。この金利差が1.0%未満の場合、手数料が高額になり、実際の利益が減少する可能性があるため、注意が必要です。   ・ローン残債が1,000万円以上ある人、返済期間が10年以上残っている人 残債が多い(1,000万円以上)人や返済期間が長い人ほど、利息負担が増加し、借り換えによって総返済額を削減できる可能性が高まります。   ・団信や特約の内容を充実させたい人 がんや脳卒中、急性心筋梗塞などを含む「8大疾病保障付き」や、全疾病を対象とする「全疾病保障付き」など、手厚い団信もあります。団信の内容を見直したい人には借り換えはよい機会となります。   これらの条件を考慮して、借り換えのメリットを最大限に活用できるかどうかを検討することが重要です。

住宅ローンの借り換えができないケース

住宅ローンの借り換えが難しいケースには、いくつかの要因が考えられます。

まず、収入が減少している方や転職したばかりで収入状況が安定していない場合は、借り換えの審査に通らないことがあります。同様に、産休中や育児休暇中の方も、収入の不安定さが借り換えを難しくする要因になります。

さらに、住宅ローンの返済が滞っている場合や、健康状態が悪化して団信に加入できない場合も金融機関は借り換えを拒否する可能性が高いです。これに加えて、他のローン(たとえば車のローンや教育ローン)の返済が増加している場合も、返済能力の懸念から借り換えが難しくなります。

一度住宅ローンを借りた後、数年から十数年が経過すると、借り手の状況も変化してきます。これらの要因を考慮して、借り換えの可否が判断されることになります。

まとめ

現在借りている住宅ローンよりも条件のよいローンが見つかれば、借り換えを行うことで支払い負担の軽減やリスク対策に繋がる可能性があります。しかし、借り換えにはデメリットもありますし、借り換え自体をできないケースもあります。

また、借り換えには手数料などの諸費用がかかるため、借り換えでお得になる額よりも手数料の方が高くついてしまう可能性があるので注意が必要です。今回解説したメリットデメリットを参考に、慎重に検討してください。

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