能登半島地震で太陽光パネルに注意喚起-被害を起こさないための対策や設置するメリットデメリット

能登半島地震で太陽光パネルに注意喚起-被害を起こさないための対策や設置するメリットデメリット

◆個別のご相談はこちら◆

地震対策のひとつとして、太陽光パネルに注目が集まっていますが、2024年1月1日に起きた能登半島地震において、太陽光パネルに対する注意喚起が発信されています。太陽光パネルは環境にやさしく素晴らしい面もありますが、地震や水害が起こった際にトラブルが起こる危険もあります。

今回の記事では、太陽光パネルの被害から守る対策や太陽光パネルのメリットデメリットを解説します。

能登半島地震で太陽光パネルに注意喚起

1月1日に発生した能登半島地震を受けて、翌2日には経済産業省が公式X(旧Twitter)で太陽光パネルに注意喚起を発表しました。

破損しても発電している可能性がある

経済産業省が公式Xで発表したのは、「太陽光パネルは、破損した場合でも、日の光が当たると発電をする可能性があるため、むやみに近づかないようにご注意下さい。また、復旧作業にあたられる際も十分ご留意下さい」という内容です。

この注意喚起には、大阪電気通信大学電気電子工学科の濱田俊之准教授も同様に注意を促しており、技術的な面から今後の対策について発表されています。

濱田准教授によれば、「故障や破損した太陽光発電は電気が発生している部分(充電部)が露出していたり、漏電していたりすることがあります。このような状態での太陽光発電設備あるいは漏電している部分に触れてしまうと感電事故の原因となります。」「太陽光発電で発電した電気を送るための電線が損傷していることもあるので、一見被害がないように見える太陽光発電も安心はできません。復旧作業をされる方はまずは作業対象の施設に太陽光発電の有無を確認してください。絶縁性の高い手袋や服装、そして、布や段ボールなど物理的に光を遮ることのできるもので太陽光パネルを覆った上で、作業をするなど感電事故に気を付けていただきたい」と注意喚起をしています。

引用:大阪電気通信大学 能登半島地震における太陽光パネル取り扱いに 工学部電気電子工学科 濱田研究室が注意喚起 太陽光発電の災害時の安全装置開発

太陽光パネルは風で飛ばれることもあり、水没しても発電が可能な上、夜間でも光に反応して発電することがあるとのことで、感電リスクが夜間も存在することに注意が必要です。

「太陽光パネル義務化」政策に不安な声も

こういった経緯から、「太陽光パネルはやめたほうがいい」「災害時におけるリスクが多い」といった意見が上がっているほか、東京都の小池百合子知事が打ち出した「太陽光パネル義務化」政策にも不安な声が寄せられるようです。

そもそも太陽光パネルの義務化は、住宅購入者ではなくハウスメーカーに太陽光パネルの設置が義務づけられていますが、設置費用や維持費は購入者が負担することになります。そのため、「すでに高騰している住宅価格にさらに費用がかかり、家の購入が難しくなる」という否定的な意見も多くありました。

小池知事は「制度が円滑にスタートするには都民、事業者の理解と協力が不可欠」と強調していますが、設置を奨励する一方で十分な対策が取られていないと、不安の声が広がるのも理解できるでしょう。ただし、義務であっても、住宅購入者には「太陽光パネルを設置しないか、または設置していない家を選ばない」という選択肢も存在します。設置を検討する場合は、地震対策もしっかりと考慮する必要があります。

地震対策-太陽光パネルの被害から守る対策

太陽光パネルを設置する場合は、地震対策をしっかりとしておきましょう。正しい知識を持っている業者に設置を依頼することが大前提ですが、業者に頼りきりになるのも危険です。自分でも設置する際の対策をとっておきましょう。

架台の強度を上げる

太陽光発電設備の導入を考える際、見積もりを取る際にはソーラーパネルやkW単価だけでなく、架台の強度も念頭におきましょう。

国土交通省が策定した建築基準法に基づいて、架台の強度は「等級」で評価されています。現在の最高等級は「等級1」であり、この等級では「500年に一度程度の発生する暴風による力に対しても倒壊崩壊せず、50年に一度発生する暴風による力にも損傷を生じない」とされています。

強度が高い架台は、価格が高くなることがありますが、災害に対する安心感を得る手段として非常に有効です。

2階以上ある屋根に設置する

施工業者から太陽光パネルを地面に設置する提案されることがよくあります。これは地面が設置場所として優れているわけではなく、見積もりを低くするためです。見積もりの低さに魅力を感じるかもしれませんが、地震対策としては、家屋の2階以上に太陽光パネルを設置するのが最適です。

なぜなら、太陽光パネルが地震による津波などで浸水すると損傷の恐れがあるからです。浸水被害を免れるための理想的な高さは、最低でも地面から60cm以上に設定することが理想的です。そのほかにも地面から高く設置することで、以下のメリットがあります。

・雑草が伸びても日当たりの影響がない
・風通しが良くなり、パネルの表面温度が低減しやすくなる
・地表の照り返し熱の影響を受けにくくなる
・周囲の遮光物からの影響を最小限に抑えられる

地面に設置した方が価格は安くなりますが、地震や自然災害に備える観点からも、設置場所の慎重な選定が必要です。

設置前にハザードマップで地盤を確認しておく

太陽光パネルの設置前には、ハザードマップを活用して地盤を確認することが大切です。

太陽光パネルにおける土砂災害の多くは、太陽光パネルが建築基準法の工作物から除外されたことが主な原因とされています。建築基準法の工作物から除外されているということは、500kW未満の太陽光パネルには届けが必要ないという状態になっています。これにより、「工事規定使用前調査」、「使用開始届」、「主任技術者が不要」という最悪な状態になります。

地震による災害を最小限に防ぐためにも、ハザードマップを活用して危険とされる場所は、太陽光パネルの設置には不向きであると認識しておきましょう。

ちなみに、ハザードマップの基準は年々厳しくなっており、これまで禁止区域でなかった場所が今年から禁止区域に指定されることもあります。定期的にハザードマップを確認しておくことが重要です。

保険に加入しておく

太陽光パネルの設置においては、自然災害に備えるために保険に加入することが重要です。

機器の損傷や第三者に対する損害に備えた補償が付いている保険がおすすめです。中でも、売電収入補償特約が付帯しているものもあり、自然災害によって売電が不可能となった場合の収入損失を補償してくれます。

◆個別のご相談はこちら◆

太陽光パネルのメリットデメリット

最後に、太陽光パネルのメリットデメリットを解説します。

太陽光パネルのメリット

太陽光パネルのメリットは以下のとおりです。

・電気代を節約できる
東京都の試算によれば、月々の電気代が1万円と仮定した場合、4 kWの太陽光パネルが発電した電力を使用することで、毎月7,700円の節約が見込まれます。設置費用は92万円かかりますが、補助金40万円を活用することで、初期費用は6年で回収できる見通しです。なお、太陽光発電は燃料費の高騰に左右されず、経済的で持続可能なエネルギーの利用が期待されます。

・売電収入を得られる
太陽光パネルによる発電で得た電力を電力会社に売却することが可能です。ただし、売電価格は大きく下落しており、売電開始当初の1kWhあたり42円から2021年には19円、2022年には17円まで低下し、2025年度には11円まで引き下げられる見込みです。この状況から、電気代が高騰している中で電気の買取価格が低下しているため、太陽光パネルを導入した方々は、発電した電気を売るよりも自宅での利用を選んでいる傾向があります。

・補助金が出る
東京都を例に挙げると、1kWあたりの補助金は12万円で、3kW以下でも5万円が支給されます。これだけでも非常に高額な補助金であり、更に驚くべきことに、蓄電池の補助金も併用できるという大変お得な制度があります。この補助金は新築住宅だけでなく、既に住宅を所有している方も対象となります。各自治体でも補助金制度がありますので、ホームページで確認してみてください。

・停電時も電気が使える
電力会社による電気は、災害時に停電した場合、電気を使うことができません。一方、太陽光パネルで発電した電気は、災害で停電になった場合でも(太陽電池モジュールや分電盤に破損がなければ)発電することができます。

太陽光パネルのデメリット

続いて、太陽光パネルのデメリットです。

・設置費用が約100万円前後かかる
住宅用の太陽光発電システムの設置費用の相場は、84万円(3kW)~140万円(5kW)と言われています。また、太陽光パネルを設置するには、パワーコンディショナの設置が必須となります。パワーコンディショナの価格相場は1kW4.2万円です。3~5kWの太陽光パネルなら、12.6万~21万円かかる計算になります。

太陽光パネルの容量を上げるとパネルの枚数は増えます。屋根の向きや形状によっては特殊な設置になるので、その分工事費用がかかります。

 
・屋根の構造や向きによっては設置できない
太陽光パネルの設置には、十分な日照条件が整った屋根が必要です。パネルの設置だけではなく、パワーコンディショナの適切な設置場所も考慮する必要があります。また、太陽光パネルが適切な方向を向いていないと、反射光により近隣住民に迷惑がかかる可能性があります。そのため、日当たりが良くても、屋根の構造や向きによっては設置できないことがあります。

 
・メンテナンスが必要
太陽光点検の費用は業者にもよりますが、1回あたり平均2.8万円(2021年)で、3~4年に一度は点検することが理想です。パワーコンディショナの寿命は約15年で、点検交換の費用は約30万円かかります。

 
・売電の利益によっては確定申告が必要
太陽光パネルからの売電による利益が一定額を超える場合、確定申告が必要となります。このラインは年間20万円以上です。確定申告を怠った場合、無申告加算税や延滞税が請求される可能性がありますので、慎重に対応する必要があります。なお、税務署からの「売電の利益があるため確定申告が必要」といった事前の通知はないため、常に自身で売電の利益を把握しておくことが重要です。

太陽光パネルを義務化する(している)自治体

太陽光パネルの義務化はすでに始まっている自治体もあります。

・京都府
2021年4月~
延床面積300㎡以上の住宅やビル

・群馬県
2023年3月~
延床面積2,000㎡以上の新築・リフォーム住宅

・東京都
2025年4月~
延床面積2,000㎡以下の新築住宅

・神奈川県横浜市
2025年4月

延床面積2,000㎡以下の新築住宅

まとめ

この記事は、太陽光パネルを推奨しているわけでも、避けた方がよいと助言しているわけでもありません。設置するメリットも多いですし、地震や水害の対策をしておき、正しく設置をすれば太陽光パネルの設置は大賛成です。ただし、設置やメンテナンスに費用がかかることや売電するにも買取価格が下がっており、売電収入はさほど見込めないことなどから、設置には慎重な判断が必要となります。

来店相談の詳細・予約はこちら

クリック↓↓↓