住宅ローンは最長で何年まで組める?何年がベスト?

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住宅ローンは最長で何年まで組める?何年がベスト?

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住宅ローンって、何となく30年とか35年で返すイメージがありませんか?

高い買い物ですから、普通のクレジットカードのように数回で完済できるものではないので当然と言えば当然なのですが…

返済期間によって住宅ローンの総返済額は大きく変わります。それこそ30年と35年では総返済額は100万円近く変わってくるのです!月々の返済額は1万円程の差なのに、です。

住宅ローンの返済額を考える時、返済期間はとても重要です。これから住宅ローンを利用してマイホームを購入しようと考えている方は、「住宅ローンの返済期間」について、絶対におさえておきましょう。

[1] 住宅ローンは最長で何年まで組める?

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住宅ローンの種類はいろいろありますが、最長で何年組めるのでしょうか。

「80歳までに完済」か「35年返済」が一般的

これまで、住宅ローンの返済期間は、最長35年か、80歳までに完済できる期間のどちらか短い方が最長期間とされてきました。

しかし、ここ最近は住宅の性能や耐用年数が上がったことから、住宅ローンの返済期間も変化が起きています。2009年6月から「住宅金融支援機構」により、最長50年の「フラット50」という住宅ローンの取り扱いが始まりました。

50年はなかなかすごいですよね。30歳から住宅ローンを組んだとして、80歳で完済です。おそらく、まだ年収が安定しない若年層が住宅ローンを組みやすいようにする狙いもあるのでしょう。人生100年時代ともいわれていますし、定年退職の年齢も上がっていますから、今後需要が見込まれれば、長期住宅ローンを取り扱う金融機関も増えていくかもしれませんね。

返済期間が長くなるほど総返済額が多くなるので注意

「長期返済なら、毎月の返済額が安く抑えられそう!」と安易に飛びつくのはやや危険です。

特に、変動金利型の場合は、住宅ローンを返済中に金利が上昇したことにより返済額が増える可能性があります。その他、保証料や団体信用生命保険(金利の上乗せ分)の負担も大きくなってしまいます。長期で住宅ローンを組む場合は、できれば固定金利の方が安心ですね。

ちなみに、フラット35の場合は金利が固定金利のみですので、変動金利型による金利上昇リスクはありません。ただし、頭金の比率によって金利が変わります。頭金の金額が住宅購入価格の10%未満の場合、元の金利に0.3%近い金利が上乗せされます。頭金ゼロでフラット35を組んで長期返済するよりも、民間金融機関で長期固定型の住宅ローンを組んだ方が返済額は抑えられるでしょう。

前置きが長くなりましたが、ポイントとして覚えておいていただきたいのは「同じ借入額で同じ金利であれば、返済期間が長ければ長いほど利息が多くなるので総返済額は多くなる」ということです。

下記は、フラット20、フラット35、フラット50の3パターンを返済期間別に総返済額を試算したものです。どのくらい違いがあるのかみていきましょう。

フラット20フラット35フラット50
金利1.4%1.5%1.9%
返済期間20年35年50年
月々の返済額11万9,490円7万6,546円6万4,576円
総返済額約2,868万円約3,215万円約3,875万円
利息の割合12.8%22.2%35.5%

※全期間固定金利型/元利均等返済/ボーナス払いなし

同じ借入額なのに、フラット35と50の場合では総返済額に約660万円の差!月々の返済額はフラット50の方が抑えられますが、総合的には一番支払いが多くなっていますね。金利も高いですし、あまり長期で組むのはおすすめしません。

ただ、2021年8月の時点では、金利差が縮小傾向になりつつあります。

フラット20
返済期間15年~20年…最頻金利/年1.150%

 フラット35
返済期間15年~20年…最頻金利/年1.150%
返済期間21年~35年…最頻金利/年1.280%

フラット50
返済期間36年~50年…最頻金利年1.800%

※最頻金利…取扱金融機関が提供する最も多い金利
※金利や詳細については住宅金融支援機構の公式サイトをご確認ください。

金利差が縮小傾向にあるといっても、毎月の返済額の安さだけで判断せず、長い目で住宅ローンを選んでくださいね。

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[2]何年で返済するのがベスト?

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前項では、長すぎる返済期間はおすすめしないと説明しました。かといって短期のローンは月々の返済額が増えてしまいます。一体、何年で組むのがベストなのでしょうか。

返済期間は「できるだけ」短く!定年までに完済することが理想

この「できるだけ」というのは具体的にいうと、「無理なく返せる額」までです。融資可能額ではなく、無理なく返せる額という点が大きなポイント。絶対に限界ギリギリまで借りすぎてはいけません。

借入額は、年収の20%までに収めるのが理想と言われています。とはいっても、具体的に数字で見ないことにはイメージしにくいかと思いますので、年収500万円の人が民間の金融機関で住宅ローンを組んだ場合の「無理なく返せる額」を下記にまとめてみました。あくまでも概算となりますので、参考程度にお考えください。

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無理のない借入額の目安(民間の金融機関で借りた場合)

25年返済:約3,000万円…毎月の返済額110,000円(年収の26%)
30年返済:約3,300万円…毎月の返済額93,500円(年収の22%)
35年返済:約3,600万円…毎月の返済額81,500円(年収の20%)

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※上記の目安は、民間の金融機関で借りた場合の数字です。フラット35の場合は、実行金利(融資する時の金利)で返済額を計算するため、民間の金融機関よりも多い借り入れが可能になります。返済シミュレーションをする時は、できれば民間の金融機関で借りた場合を想定して計算し、上記の返済額までに抑えておくことをおすすめします。

そして大事なポイントがもうひとつ。それは定年退職までに完済することです。

たとえば、35歳で住宅ローンを35年で組んだ場合、完済時は70歳。60歳で定年退職した場合、定年後から完済時までの10年間、住宅ローンをどうやって返済していくのかが課題となります。今後ますます高齢化が進み、再雇用制度が当たり前の世の中になったとしても、若い頃とは年収が少なくなってしまう方が多いのではないでしょうか。

かといって、定年退職前に完済できるように住宅ローンを組むと、月々の返済額が増えてしまいます。それも困りますよね。ではどうすればいいのかというと、ひとつおすすめの考え方があります。

それは、35歳から60歳までの25年間を借入可能年数とし、「借入可能年数×年収の20%」を上限額と考えることです。この計算方法で出した上限額の範囲内で住宅ローンを組めば、老後に抱える住宅ローンの負担を軽減することができるでしょう。もちろん、すべての方にベストな考え方とは限りませんので、必ず不動産会社や金融機関で資産計画を立ててもらってくださいね。

退職金でローン返済する場合は、老後資金のことも視野に入れる

退職金で住宅ローンを返済するご予定の方もいらっしゃることでしょう。利息を早く減らしたいですし、一括返済できたら肩の荷が下りそうですよね。

退職金で住宅ローンを一括返済するメリット、しないメリットを挙げるとこうです。

一括返済をするメリット
・払う予定だった利息を払わなくて済む
・住宅ローン返済のプレッシャーから解放される
・団体信用生命保険の保険料に相当する金利負担がなくなる

一括返済をしないメリット
・老後資金を手元に多く残しておける
・団体信用生命保険は、万が一の時に住宅ローンの返済が不要になるから安心

ざっくり挙げるとこのような感じになりますが、要は、退職金で住宅ローンを一括返済すると、老後資金が減るが住宅ローンの返済はなくなる。退職金を住宅ローンにあてて大丈夫だろうか、という不安を持つ方が多いのかと思います。

ひとつの手段として、老後資金に不安がある方は、一括返済せずに繰り上げ返済をするのも良いかと思います。住宅ローンの返済額を減らしつつ、老後資金も確保しておけるので、いきなり一括返済しないで様子をみながら繰り上げ返済をしていくのが安心ではないでしょうか。

借入額3,000万円を返済期間の違いで試算

前項では、フラット20、35、50の3パターンを返済期間別に総返済額を試算したものをご紹介しましたが、さらにイメージしやすいように借入額3,000万円を例に、シミュレーションしてみましょう。

返済期間と毎月の返済額の目安

返済期間月々の返済額総返済額利息
35年9万392円約3,797万円約797万円
30年10万2,102円約3,676万円約676万円
25年11万8,576円約3,558万円約558万円
20年14万3,388円約3,442万円約442万円
15年18万4,875円約3,328万円約328万円
10年26万8,053円約3,217万円約217万円

※借入3,000万円・金利1.4%・全期間固定金利・元利均等・ボーナス払い無し

上図を見ると分かるように、返済期間が短ければ短いほど総返済額は少なくなりますが、無理に短くして返済ができない…!という事態は避けたいですよね。このようなシミュレーションを見ると、「このぐらいなら自分でもいけそう!」と自分に重ねて考えてしまいがちですが(そのためのシミュレーションではあるのですが)、シミュレーションはあくまでも目安。実際にあなたの年収や支出などから試算しないことには正確な予算は分かりません。しつこいようですが、必ず不動産会社や金融機関で資産計画を立ててもらってからお住まい探しをスタートしてくださいね。

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[3]まとめ

返済期間は何年がベスト!?その結論は…

やはり「無理なく返せる額」までに収めて、定年退職までに完済できるように設定することが理想ではあります。ただ、無理に短くして返済が出来なくなってしまったら意味がありません。

一般的に、住宅ローンは1年ごとに返済期間の設定が可能ですので、家計に余裕がなければ借入れ当初は長めのローンで組み、途中で繰り上げ返済をしながら定年退職まで徐々に返済期間を短くしていくのが安心かと思います。

定年退職後は、退職金で少しずつ繰り上げ返済をしていき、老後資金を確保しておきましょう。

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