不動産取得税の基礎知識と軽減措置

不動産取得税の基礎知識と軽減措置

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今回のテーマは不動産取得税です。不動産取得税と固定資産税を混同している方も多い様ですが、不動産取得税は取得した年に一度だけ支払う税金です。さらに軽減措置もあるので、要件を満たしていれば申請を行うことをおすすめします。

控除額や申請方法、要件などは記事内で詳しく解説します。

[1]不動産取得税ってどんな税金?

不動産取得税とは、不動産を取得したとき、または新築・増築したときに課税される地方税です。取得した建物と土地それぞれに課税されます。

申告と納税方法

不動産を取得後、または新築・増築した後6ヶ月〜1年半くらいの間に各都道府県から「納税通知書」が送付されます。により定められた期限までに納付します。

毎年支払いが必要な固定資産税とは異なり、不動産取得税の支払いは1回だけです。支払い方法は、都道府県税事務所の窓口払いや金融機関での支払い、コンビニ払い、クレジットカード払いなどがあります。キャッシュレス決済の対応を開始した都道府県税事務所もあるようです。

徴収の猶予

徴収の猶予とは、住宅が完成するまでの間、土地の取得に係る不動産取得税の納税を猶予する制度です。猶予される税額は、その住宅が完成したものとみなして計算された減額の額に相当する税額分のみとなります。

徴収猶予を受けることができる要件は、土地を取得した日から2年(令和6年3月31日までに土地を取得した場合は3年、又はこの期間の取得で、法律に規定された共同住宅等であり、やむを得ない事情があると知事が認めた場合は4年)以内に次のいずれかに該当する住宅の新築が行われる場合になります。

1.取得した土地(継続して所有するものに限る)の上に住宅が新築される場合

2.取得した土地の譲渡(相続を含む)があり、その譲渡を受けた人がその土地の上に住宅を新築する場合

不動産取得税の納税通知書が届いたら、早めに徴収猶予の申請をしましょう。納期限を経過してしまうと徴収猶予を受けられませんのでご注意ください。

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[2]不動産取得税の課税対象・非課税対象

次に、不動産取得税の課税対象・非課税対象について解説します。

課税対象

有償・無償の別、登記の有無にかかわらず、不動産を取得したら課税の対象になります。具体的には、売買、交換、贈与、新築、増築、改築などです。

非課税対象

以下の場合は非課税となります。

・相続により不動産を取得した場合
・法人の合併または一定の分割により不動産を取得した場合
・学校法人が保育・教育の用に供する不動産を取得した場合
・宗教法人が境内建物および境内地を取得した場合
・社会福祉法人等が一定の社会福祉の事業の用に供する不動産を取得した場合
・公共の用に供する道路などの用地の取得した場合
・土地区画整理法による土地区画整理事業の施行に伴う換地を取得した場合

また、取得した不動産が以下の金額未満の場合も非課税となります。

・10万円未満の土地
・新築した家屋の価格または増改築にかかった金額が23万円未満の場合
・売買・交換・贈与などにより取得した家屋が12万円未満の場合

[3]不動産取得税の計算方法

不動産取得税は以下のように計算します。

課税標準額(固定資産税評価額)×税率(原則4%)

税率は基本4%ですが、特例により以下のとおり標準税率が軽減されます。

土地及び住宅 3%(2024年(令和6年)3月31日まで)
住宅以外の家屋 4%

注意点は2つ。ひとつ目は課税標準額です。課税標準額は「固定資産評価基準」によって算出された価格のことで、実際に売買したときの価格や工事費ではありません。

ふたつ目の注意点は、税率です。税率は基本4%ですが、土地及び住宅は3%となるため、住宅(一戸建てまたはマンション)を購入する場合は、土地・建物を合わせて3%の軽減税率が適用されます。なお、この軽減税率3%は、住宅と土地の取得時期の制限が設けられていて、2008(平成20)年4月1日から2023(令和6)年3月31日までに取得した住宅が対象となります。この引き下げを受けるための条件は特になく、土地か住宅であれば適用されます。

[4]不動産取得税の軽減措置について

先述した標準税率4%から3%に引き下げられる措置のほかに、要件を満たせば適用される軽減措置もあります。

新築住宅の軽減措置と要件

新築住宅(一戸建て・マンション)の軽減措置は、課税標準額から1,200万円控除されます。

軽減措置の内容(建物)

内容
控除額(課税標準額-1200万円)×税率3% ※認定長期優良住宅を平成21年6月4日から令和6年3月31日までに取得した場合の控除額は、1戸につき1,300万円。
軽減措置を受けるための要件・居住用その他も含め住宅全般に適用 (マイホーム・セカンドハウス・賃貸用マンション[住宅用]など) ・課税床面積(参照)が50㎡以上(戸建以外の貸家住宅は1戸当たり40㎡以上)240㎡以下

軽減措置の内容(土地)

内容
控除額不動産取得税 = (固定資産税評価額 × 1/2 × 3%) − 控除額(下記のAかBのうち、金額が多い方を適用) A :45,000円 B :(土地1㎡当たりの固定資産税評価額 × 1/2) × (課税床面積 × 2(200㎡限度)) × 3%
軽減措置を受けるための要件・上記「建物」の軽減の要件を満たすこと ・住宅よりも先に土地を取得した場合、取得から3年以内(2024年[令和6年]3月31日までの特例)に建物を新築すること ・土地を借りるなどして住宅を新築した人が新築1年以内にその土地を取得すること(建物建築先行の場合)

中古住宅の軽減措置と要件

新築と中古では「建物」の控除額の出し方は異なりますが、土地はどちらも同じ方法で算出されます。控除額は新築した日によって変わります。

軽減措置の内容(建物)

内容
控除額平成9年4月1日以降…1,200万円 平成1年4月1日~平成9年3月31日…1,000万円 昭和60年7月1日~平成1年3月31日…450万円 昭和56年7月1日~平成60年6月30日…420万円 昭和51年1月1日~昭和56年6月30日…350万円 昭和48年1月1日~昭和50年12月31日…230万円 昭和39年1月1日~昭和47年12月31日…150万円 昭和29年7月1日~昭和38年12月31日…100万円
軽減措置を受けるための要件・買主の居住用、又はセカンドハウス用としての取得(賃貸用マンション[住宅用]は適用外) ・50㎡以上240㎡以下(課税床面積) ・次のいずれかに該当するものであること ①1982年(昭和57年)1月1日以降に建築されたものであること(固定資産課税台帳に記載された新築日で判断) ②①に該当しない住宅で、新耐震基準に適合していることについて証明がなされたものや、既存住宅売買瑕疵保険に加入している一定のものであること(証明方法はこちら) ③新耐震基準に適合しない住宅で、入居前に新耐震基準に適合するための改修を実施する一定の中古住宅であること

軽減措置の内容(土地)

内容
控除額不動産取得税 = (固定資産税評価額 × 1/2 × 3%) − 控除額(下記のAかBのうち、金額が多い方を適用) A :45,000円 B :(土地1㎡当たりの固定資産税評価額 × 1/2) × (課税床面積 × 2(200㎡限度)) × 3%
軽減措置を受けるための要件・上記「建物」の軽減の要件を満たすこと ・住宅よりも先に土地を取得した場合、1年以内に建物を取得すること ・建物の取得を先行していた場合、取得した人が1年以内にその土地を取得すること

居住用土地の軽減措置と要件

土地を取得した後、一定期間内に特例適用住宅(上記課税標準の特例あり)を取得した場合は、不動産取得税が減額されます。

項目適用条件
新築住宅と一緒未使用住宅を築1年以内に取得
新築住宅より先敷地取得日から3年以内に住宅を新築
新築住宅より後敷地取得日前の1年以内に住宅を新築
中古住宅より先敷地取得日から1年以内に住宅を取得
中古住宅より後敷地取得日前の1年以内に住宅を取得
税額の計算固定資産税評価額 × 1/2 × 3% − 税額控除額
税額の計算税額控除額は、次の(a)、(b)いずれか大きい金額
税額の計算(a) 45,000円
税額の計算(b)(土地1m²当たりの固定資産税評価額×1/2)×住宅の床面積×2(200m²が限度)×3%
税額の計算家屋の床面積の2倍(1戸当たり200m²を限度)までの面積の土地の場合は、不動産取得税が課税されません。

[5]納税の流れ軽減措置を受けるときの申請方法

1.不動産取得後、都道府県税事務所務所に届け出をする
申告書は、都道府県税事務所の窓口かホームページで入手することができます。都道府県税事務所が自動的に申告してくれる場合もありますが、不動産会社にするか、都道府県税事務所に確認しましょう。

なお、申請書の提出期限も都道府県税事務所によって異なります。不動産を取得した日から20日以内~60日以内と、各都道府県によって異なりますので、ご注意ください。ちなみに、「不動産を取得した日」とは、「決済」を行った時点を指しています。最終的な価格を現金か住宅ローンで支払った時です。売買契約を締結した時ではありません。

 

2.納付書が届いたら期限内に納税する
納付書が届くのは、取得した日の半年から1年後がおおよその目安となります。軽減措置の適用によって納税額が0円になるときは、納付書は送られてきません。

 

3.軽減措置の手続きには申請が必要
軽減措置を受ける際も、都道府県税事務所への申請が必要です。「不動産取得税課税基準の特例適用申告書」を、建物と土地用にそれぞれ1通ずつ用意し、必要書類と合わせて提出をしてください。必要書類は、以下のとおりです。

・不動産取得税の納税通知書
・印鑑
・土地と住宅の売買契約書(住宅引渡証書)
・住宅の登記事項証明書(あるいは登記謄本)

[6]まとめ

不動産取得税の軽減措置については、都道府県税事務所に確認を!

今回は不動産取得税について解説しましたが、一番気になるのは軽減措置かと思います。軽減措置を受けるための条件はざっくり言うと「一戸建て・マンションの延床面積が50㎡以上240㎡以下であること」です。一戸建ての場合は、1階と2階の床面積の合計が15.09坪~72.45坪以下であればクリアです。一般的な住居ならほぼこの条件内に収まるかと思いますが、詳細については都道府県税事務所にお問い合わせください。

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