不動産の登記費用と印紙税について

不動産の登記費用と印紙税について

◆個別のご相談はこちら◆

ややこしい印象のある登記や印紙税ですが、ポイントさえおさえればそう難しくはありません。今回は登記や印紙税についてどこよりも分かりやすく解説します!

[1]不動産の登記費用について

まずは、不動産の登記費用について解説します。専門的なイメージがあるので「難しい」「分からない」という方も多いですが、全体像さえつかめば大丈夫です。

どのようなときに登記が必要?

住宅や土地などの不動産を購入したときは、登記の手続きが必要です。これは、建物や土地を自分名義にする目的で行います。

以下の場合に登記の手続きが必要です。

・所有権の保存登記
建物を新築したときに必要な登記。所有者の情報を登記します。なお、所在地や床面積などの建物情報を登記することを表題登記といいます。

・所有権移転登記
住宅ローンを利用して不動産を取得するときは抵当権を設定します。その際に登記が必要です。住宅ローンを利用せず現金で購入する場合は、所有権移転登記のみになります。

・抵当権設定登記
住宅ローンを利用して不動産を取得するときは抵当権を設定します。その際に登記が必要です。住宅ローンを利用せず現金で購入する場合は、所有権移転登記のみになります。

不動産登記にかかる費用の内訳

登記についての全体像はお分かりいただけたかと思います。次に、登記費用の内訳について解説します。登記に必要な費用には「登録免許税」と「司法書士の手数料」があり、この2つの合計したものが登記費用となります。

まずは、登録免許税の計算方法について説明します。

…………………………………………………………………………………

●所有権移転登記の登録免許税
土地の固定資産評価額 × 1.5%
建物の固定資産評価額 × 2.0%(軽減措置の適用がある場合は0.1%)

●抵当権設定登記の登録免許税
抵当権の債権額 × 0.4%(軽減措置の適用がある場合は0.1%)

●図面などの事前調査費用などの雑費
一般的な住宅の場合…5,000円程度

…………………………………………………………………………………

次に、司法書士の手数料の計算方法ですが、司法書士の事務所によって大きく異なります。一般的な相場は以下のとおりです。

●図面などの事前調査費用などの雑費…50,000円前後
●所有権移転登記+抵当権設定登記…90,000円前後

「登録免許税」と「司法書士の手数料」の合計金額が登記費用となります。

また、このほかにも、住民票や印鑑登録証明書、住宅用家屋証明書取得手数料なども必要になる場合、不要な場合もあります。ケースバイケースになりますので、手続きの際に確認しましょう。

登記費用の軽減措置

令和6年(2024年)3月31までの不動産取得まで登録免許税の軽減措置が適用されます。なお、中古住宅については、令和4年4月1日より適用要件が緩和され、多くの中古住宅が軽減措置の対象となりました。

登録免許税の軽減措置(土地所有権移転を除く)を受けるには、以下の要件を満たさなければなりません。

 ・住宅の床面積(登記簿面積)が50㎡以上であること
 ・その者が主として居住の用に供する家屋であること
 ・取得後1年以内の登記であること
 ・市町村が発行する住宅用家屋証明書を取得していること※
 ・中古住宅の場合は築25年を超えるマンション、築20年を超える木造一戸建等では「耐震性を有することの証明書」を添付すること

※耐震性を有することの証明書は、次のいずれかの書類が必要です。
 ・耐震基準適合証明書
 ・住宅性能評価書
 ・既存住宅売買瑕疵担保責任保険契約の保険付保証明書写し

なお、軽減措置を受けるための手続きは必要ありません。登記の際に上記の要件を満たしていれば、軽減された税率で計算されます。

登記種別本来の税率軽減後の税率
所有権保存登記0.4%0.15%
所有権移転登記2.0%0.3% ※
抵当権設定登記0.4%0.1%

※令和6年(2024年)3月31日までに取得したときの所有権移転登記は0.1%(特定増改築等がされた買取再販住宅を取得する場合)に軽減。

登記種別本来の税率軽減後の税率
所有権移転登記2.0%1.5%

※適用期間:令和5年(2023年)3月31日までに取得した場合

◆個別のご相談はこちら◆

[2]売買契約書に貼る印紙税について

次に、売買契約書に貼る印紙税について解説します。

印紙の添付が必要な不動産の契約書

不動産取引における印紙添付が必要な課税文書は以下の3つです。

1.不動産売買契約書
2.建物の建築請負契約書
3.金銭消費貸借契約書

それぞれいくらかかるのかは、次項で説明します。

印紙税額一覧表

不動産取引における印紙税額は以下のとおりです。取引金額が1万円以上10万円未満の不動産売買は非課税となるため、軽減措置の対象外です。該当する不動産売買契約書の印紙税額は200円となります。

取引金額不動産売買契約書建物の建築請負契約書金銭消費貸借契約書
1万円未満のもの非課税非課税非課税
1万円以上10万円以下200円200円200円
10万円超50万円以下200円200円400円
50万円超100万円以下500円200円1,000円
100万円超200万円以下1,000円200円2,000円
200万円超300万円以下1,000円500円2,000円
300万円超500万円以下1,000円1,000円2,000円
500万円超1,000万円以下5,000円5,000円10,000円
1000万円超5,000万円以下10,000円10,000円20,000円
5,000万円超1億円以下30,000円30,000円60,000円
1億円超5億円以下60,000円60,000円100,000円
5億円超10億円以下160,000円160,000円200,000円
10億超50億円以下320,000円320,000円400,000円
50億円超480,000円480,000円600,000円
記載金額なし200円200円200円

印紙税は誰が納める?

不動産取引の契約は、取引を行う両者が同じ契約書を保持します。そのため、2枚の契約書それぞれに印紙が必要になります。

印紙代の負担については、以下のどちらかの手段を取ります。

1.契約書原本を2部作成し、売主・買主がそれぞれ印紙代を負担
2.契約書原本を1部作成し、原本を保管する方が印紙代を負担

不動産売買の契約書には「契約書貼付する収入印紙は、売主・買主が平等に負担するものとする」と記載されており、売主・買主がそれぞれ負担するケースが通常です。

ちなみに、契約書のコピーには印紙の貼り付けは必要ありません。たとえば、売買契約書を1部作成し、売主・買主が署名捺印後、コピーをとります。そして買主が原本、売主がコピーを保管するとします。この場合、原本には印紙の貼り付けが必要ですが、コピーには不要です。(コピーした売買契約書に署名捺印をした場合は課税文書となるため印紙が必要)

印紙を購入できる場所

印紙は、「収入印紙売りさばき所」の指定を受けている場所で購入できます。

具体的に購入できる場所を挙げますと…
・法務局
・郵便局
・コンビニエンスストア(一部店舗除く) です。

一番確実なのは法務局です。法務局に併設された売店で全31券種の収入印紙を購入することができます。

コンビニの場合は、200円の印紙を多く取り扱っていることが多く、そのほかの印紙は手に入らない可能性が高いので、注意しましょう。また、規模の小さい郵便局も5万円以上の高額な印紙を取り扱っていないことがあるので、問い合わせをして確認するか、規模の大きい郵便局で購入しましょう。

収入印紙を貼り忘れた場合

印紙の貼り忘れをしたらどうなるのかと言うと、本来納付する印紙代に加えておよそ2倍の過怠税が課せられます。つまり、本来支払うはずだった印紙代の3倍請求されるのです。これを過怠税といいます。なお、印紙の貼り忘れの申出を行なうことで、過怠税を「本来の収入印紙の金額+その10%相当額」とすることができます。

過怠税の申出について詳しくは、国税庁ホームページ「印紙を貼り付けなかった場合の過怠税」をご確認ください。

収入印紙が消印されていない場合

収入印紙が消印されていなくても売買契約が取り消しになることはありませんが、収入印紙の金額と同額の過怠税が課せられます。

ちなみに、収入印紙の「消印」は「割印」を混同している方が多いので注意しましょう。消印は、収入印紙の再使用を防止するために押す判子で、印紙と文書にまたがって押します。一方、割印は、2通以上の独立した文書がある際に、その文書が同一であることを示すために押す判子です。割印は、文書同士をずらして重ね、両方の文書にまたがって押します。

収入印紙の金額を間違えた場合

納付するべき金額以上の収入印紙を貼ってしまった場合、還付を受けることが可能です。ただし、売買契約書の作成日から5年を経過したものについては還付の対象外です。

売買契約書に貼る前に間違えて購入してしまった収入印紙は、損傷がないものに限り、郵便局で交換してもらえます。交換する際は、交換対象の収入印紙1枚につき5円の交換手数料が必要です。購入した場所が郵便局以外であっても対応可能です。

印紙税の軽減措置

納付する国税庁のホームページによると、軽減措置の対象となる契約書は、請負に関する契約書(建設工事の請負に係る契約に基づき作成されるものに限られます。)のうち、記載金額が100万円を超えるもので、平成26年4月1日から令和6年3月31日までの間に作成されるものになります。

お、これらの契約書に該当するものであれば、建設請負の当初に作成される契約書のほか、工事金額の変更や工事請負内容の追加等の際に作成される変更契約書や補充契約書等についても軽減措置の対象になります。

引用元:建設工事請負契約書の印紙税の軽減措置

軽減措置の対象となる印紙税の税率は、以下のとおりとなります。

取引金額本来の印紙税軽減後の印紙税
1万円未満のもの非課税非課税
1万円以上10万円以下200円200円(変わらず)
10万円超50万円以下400円400円
50万円超100万円以下1,000円500円
100万円超500万円以下2,000円1,000円
500万円超1,000万円以下10,000円5,000円
1000万円超5,000万円以下20,000円10,000円
5,000万円超1億円以下60,000円30,000円
1億円超5億円以下100,000円60,000円
5億円超10億円以下200,000円160,000円
10億超50億円以下400,000円320,000円
50億円超600,000円480,000円
記載金額なし200円200円(変わらず)

[3]まとめ

ご不明な点は事前に不動産仲介会社へ相談を!

今回は、不動産の登記と印紙税について解説しましたが、いかがでしたでしょうか。これから不動産売買契約を控えている方は、登記や契約について「これで合っているのかな?」という不安な点があると思います。今回、できる限り分かりやすく解説しましたが、不明点はやり取りをしている不動産会社に聞くのが一番です。不明点があれば、遠慮せずに不動産会社に確認しましょう。

[この記事を読んだ人は、こんなセミナーに参加しています]