住宅ローン控除でいくら還付される?

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住宅ローン控除でいくら還付される?

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度々改正をしている住宅ローン控除。気が付くと細々と内容が変わっていて、「いつの間に!?」「これはいつから!?」と混乱することがしばしばあります。

令和3年(2021年)度の税制改正が施行され、住宅ローン減税の内容が「床面積が40平米以上に緩和」「ただし所得制限あり」「控除期間が13年間に延長」など、これまたいつの間にか内容が変わっているのです。

今回の記事では、令和3年(2021年)8月時点での、住宅ローン控除の最新情報を紹介します。法律や不動産に苦手な人にも分かりやすい内容でご紹介しますので、気軽な気持ちでぜひご一読ください。

[1] 税制改正により何が変わった?

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令和3年(2021年)の時点で、どのような改正をされているのかをみていきましょう

控除期間が13年間に延長

2019年10月に消費税率を10%に引き上げた際に特例措置として2019年の増税に伴い、控除期間が10年間から13年間に延長されました。令和3年も継続されます。

また、新型コロナウイルス感染症の対応策として、入居期限が遅れた場合であっても2021年12月末までに入居できれば、同様の措置が認められることにもなりました。この件については後述します。

床面積が40平米以上に緩和(所得制限あり)

令和2年までは、床面積50平米以上であることが条件でしたが、令和3年の改正によって床面積40平米以上であれば住宅ローン控除の対象となりました。

ただし、対象となるのは所得が1,000万円以下である場合です。1,000万円以上の高所得者が40平米以上50平米未満の小規模住宅を購入しても住宅ローン控除の対象にはなりません。50平米以上の住宅を購入した場合は対象となります。

床面積合計所得額控除額
40平米以上50平米未満1,000万円以下新設
50平米以上3,000万円以下現行通り

この所得制限は、高所得者の投資用に転用することを防ぐ目的としている様です。世の中そう甘くはないということでしょうか。いや、そう悪い話でもないのですよ。最近はディンクス向けの小規模マンションを購入するご家庭も増えていますし、老後に小規模マンションを購入したいご夫婦にも嬉しい改正ですよね。高所得者で投資家の方には面白くない改正かもしれませんが、幅広い層がマイホームを購入しやすくなったと思います。

新型コロナウイルスで入居が遅れた場合

新型コロナウイルスによって住宅の建築が遅れたという人も多いことでしょう。コロナのせいで住宅ローン控除を受けられないなんて悔しいですよね。でも大丈夫です。そのような方々を対象に、住宅ローン減税の適用要件が弾力化されました。

新型コロナウイルスの影響により、住宅ローン減税の入居期限要件を満たせない場合に、以下の要件を満たした上で令和3年12月31日までに入居すれば、特例措置の対象となります。

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【1】一定の期日までに契約が行われていること。
・ 注文住宅を新築する場合:令和2年9月末
・ 分譲住宅・既存住宅を取得する場合、増改築等をする場合:令和2年11月末

(1)新型コロナウイルス感染症の影響によって、注文住宅、分譲住宅、既存住宅又は増改築等を行った住宅への入居が遅れたこと。

【2】既存住宅を取得した際の住宅ローン減税の入居期限要件(取得の日から6ヵ月以内)について、取得後に行った増改築工事等が新型コロナウイルス感染症の影響で遅れ入居が遅れた場合でも、以下の要件を満たしていれば、入居期限が「増改築等完了の日から6ヵ月以内」となります。

(1)以下のいずれかの期日までに増改築等の契約が行われていること。
・ 既存住宅取得の日から5ヵ月後まで
・ 関連税制法案の施行の日から2ヵ月後まで

※施行の日より前に契約が行われている場合でも構いません。

(2)取得した既存住宅に行った増改築等について、新型コロナウイルス感染症の影響によって、増改築等後の住宅への入居が遅れたこと。

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「入居が遅れたことを証する書類」について

詳細はこちらからどうぞ
国土交通省ホームページ:住宅ローン減税の適用要件が弾力化されます!~新型コロナウイルス感染症の影響で期限内に入居できない方へ~

「すまい給付金」も同時改正

住宅ローン控除の改正にあわせて、「すまい給付金」の適用期間の延長と平米数の条件が緩和されました。

2021年12月までに引渡し・入居が完了した人を対象とした制度でしたが、改正により下記のように延長されました。

平米数の緩和については、下記に該当する場合のみ適用となります。

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契約期間
注文住宅を新築する場合…2020年10月1日~2021年9月30日までの期間

分譲住宅・既存住宅を取得する場合…2020年12月1日~2021年11月30日までの期間

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引渡し・入居期限
上記の期間に契約した場合は、2022年12月31日まで延長

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すまい給付金の措置を受けるための条件は、以下のとおりです。

(1)年収775万円以下(家族構成によって異なります)

(2)住宅ローンを利用すること(50歳以上かつ年収650万円以下であれば利用しなくても可)

(3)自分が住む住居であること

(4)床面積が40m2以上であること(改正により50㎡→40㎡に緩和)

(5)品質が担保された住宅であること

・新築…住宅瑕疵担保責任保険に加入または建設住宅性能表示制度を利用
・中古…不動産会社が売主であること。また、既存住宅売買瑕疵保険に加入または既存住宅性能表示制度を利用すること。

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詳しくはすまい給付金のホームページをご確認ください。

[2]住宅ローン控除を利用するための条件

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住宅ローン控除を受けるためには、下記の条件を満たす必要があります

住宅ローン控除の対象となる条件
新築・中古共通条件(1)自分自身が居住する住宅であること 住宅ローン控除は、自分自身が居住する家であることが必須のため、投資用の物件や親族の家などには適用されません。
(2)住宅取得の日から6ヵ月以内に居住、適用を受ける各年の12月31日まで引き続いて住んでいること。
(3)床面積が40㎡以上であること(改正) 床面積が50㎡以上の広さが条件でしたが、改正により40㎡以上に緩和されました。一戸建ては、各階の床面積の合計、マンションの場合は、専有部分の床面積で算出します。
(4)住宅ローンの借入期間が10年以上であること 9年以下の住宅ローンは適用されません。
(5)50㎡以上の住宅は年収が3,000万円以下であること 1年でも年収が3,000万円を超えた場合、それ以降の年は住宅ローン控除を受けることができません。住宅ローン契約時の年収が3,000万円以上であれば、初年度から控除が受けられません。
(6)40㎡以上50㎡未満の住宅は年収が1,000万円以下であること(改正) 改正により、床面積の条件は50㎡→40㎡に緩和されましたが、年収制限は厳しいです。高所得者が投資用として小規模住宅を購入することを防ぐことが目的です。
中古住宅の場合(1)築年数が以下の規定の年数以内であること ・鉄筋造や鉄骨鉄筋コンクリート造などの耐火建築物…築25年以内 ・木造などで建てられた非耐火建築物の場合…築20年以内 (築20年以上の場合は、耐震基準に適合していることを証明する必要があります。耐震基準適合証明書、または耐震等級1以上と認められた既存住宅性能評価書か既存住宅売買瑕疵保険への加入が必要)
リフォームの場合(1)工事費100万円以上 リフォームの場合は、工事費が100万円以上の住宅が対象となります。

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[3]住宅ローン控除を受けるには、いつまでに契約・入居すれば良い?

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長期優良住宅を購入すると優遇措置を受けることができます。

新型コロナウイルスの影響もありますし、一体いつまでに契約・入居をすれば住宅ローン控除を受けられるのか気になりますよね。

下記にまとめましたので、参考にしてください。

住宅ローン控除を受けるための契約・入居スケジュール

契約日居住開始日控除期間
~令和2年(2020年)12月31日13年間
注文住宅 令和2年(2020年)10月1日~ 令和3年(2021年)9月30日 令和3年(2021年)1月1日~ 令和4年(2022年)12月31日 13年間
分譲住宅・マンション・中古住宅・リフォーム 令和2年(2020年)12月1日~ 令和3年(2021年)11月30日 令和3年(2021年)1月1日~ 令和4年(2022年)12月31日 13年間
~令和2年(2020年)11月30日コロナの影響で入居が遅れた場合 ~令和3年(2021年)12月31日 13年間
~令和2年(2020年)11月30日コロナの影響で入居が遅れていない場合 ~令和3年(2021年)12月31日 10年間
~令和2年(2020年)11月30日~令和4年(2022年)12月31日未定
令和3年(2021年)12月1日~~令和4年(2022年)12月31日未定

※上記は床面積50m2以上、消費税10%の物件を購入した場合
参考:国土交通省「住宅ローン減税制度について」

[4]住宅ローン控除でいくら還付される?

それでは、実際に住宅ローン控除でどのくらい減税されると考えればよいのかシミュレーションしてみましょう。

計算方法

年収400万円を例に還付額を計算してみましょう。

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【設定条件】
年末時点でのローン残高:3,000万円
年収:400万円
所得税:10万円

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最大控除額:3,000万円×1%=30万円

まずは所得税から住宅ローン控除額を引きます。

所得税額10万円-住宅ローン控除30万円=20万円(控除しきれなかった額)

所得税額は10万円(A)なので全額控除されます。控除し切れなかったのは20万円。これを住民税から控除します。

住民税からの控除上限額は前年課税所得の7%、または13万6500円のうち小さいほうの金額が上限となるため、住民税からの最大控除額は13万6,500円(B)となります。

(A)(B)を合計した23万6,500円が控除されます。(差額の63,500円は、来年に持ち越すことはできません)

還付額の早見表

あくまでも概算額になりますが、住宅ローン控除の還付額の早見表をご用意しました。参考にしてください。

住宅ローンの年末残高と最大控除額

一般住宅長期優良住宅低炭素住宅
住宅ローンの年末残高の上限4,000万円5,000万円5,000万円
最大控除額(年間)40万円50万円50万円

住宅ローン控除の控除期間と最大控除額(一般住宅の場合)

居住開始時期控除期間最大控除額
令和元年(2019年)10月1日~令和2年(2020年)12月31日13年間●1年目~10年目 住宅ローンの年末残高×1%×10年=最大控除額は400万円 ●11年目~13年目 以下(1)(2)のいずれか小さい金額×3年 (1)住宅ローンの年末残高または住宅の取得対価のうちいずれか少ない金額×1%
令和3年(2021年)1月~令和4年(2022年)12月13年間 ※同上

※契約締結日に要件あり(注文住宅は令和2年(2020年)10月1日~令和3年(2021年)9月30日、分譲住宅・マンション・中古住宅・リフォームは令和2年(2020年)12月1日~令和3年(2021年)11月30日)

ちょっと分かりにくいでしょうか。「実際いくらなの?具体的な数字が知りたい!」という声が聞こえてきそうですので、もっと分かりやすい一覧表を下記にまとめてみました。こちらもあくまでも概算になりますので参考程度にお考えください。

住宅ローン控除の還付額(概算)

住宅種別控除期間控除期間最大控除額
一般住宅10年間40万円約480万円 (40万円×10年間+約26万円×3年)
一般住宅11~13年目約26万円約480万円 (40万円×10年間+約26万円×3年)
長期優良住宅、低炭素住宅10年間50万円約600万円 (50万円×10年間+約3万円×3年)
長期優良住宅、低炭素住宅11~13年目約33万円約600万円 (50万円×10年間+約3万円×3年)

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[5]まとめ

住宅ローン控除を受けるには確定申告が必要です!

住宅ローン控除は、住宅を購入すれば自動的に控除されるわけではありません。会社員の方は、初年度だけ自分で確定申告を行い、翌年からは勤務先に住宅ローンの残高証明書を提出すれば年末調整で手続きが完了します。自営業の方は、毎年確定申告をする必要があります。

面倒くさいと感じるかもしれませんが、年に一度のことです。せっかくのお得な控除ですから少し頑張って確定申告をしましょう。

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