You are currently viewing 引っ越し前に住民票を移動するのは違法!?移動するメリットや注意点を解説します!

引っ越し前に住民票を移動するのは違法!?移動するメリットや注意点を解説します!

引っ越し前に住民票を移動するのは違法!?移動するメリットや注意点を解説します!

◆個別のご相談はこちら◆

住宅ローンを組んで家を買う時、金融機関から新しい家の住民票が必要と言われることが多いです。しかし、「引っ越し前に住民票を移動させることは違法」という意見も聞きますよね。実際のところどうなのでしょうか。

引っ越し前に住民票を移動するのは違法?

厳密に言うとグレーな行為ではあります。その理由は「住民基本台帳法」で定められた内容にあります。

引っ越し前に住民票を移動することに罰則はないですが、住民基本台帳法では、「引越し日から14日以内に住所変更をする」と規定されているため、従わない場合は5万円以下の過料が科せられます。

・転入届について
第二十二条 転入をした者は、転入をした日から十四日以内に、転入届を市町村長に提出しなければならない。

・転居届について
第二十三条 転居をした者は、転居をした日から十四日以内に市町村長に届け出なければならない。”

・過料について
第五十二条 第二十二条から第二十四条まで、第二十五条又は第三十条の四十六から第三十条の四十八までの規定による届出に関し虚偽の届出(第二十八条から第三十条までの規定による付記を含む。)をした者は、他の法令の規定により刑を科すべき場合を除き、五万円以下の過料に処する。

引用:昭和四十二年法律第八十一号 住民基本台帳法

ポイントとなるのが、虚偽の届出という部分です。引っ越す予定がないのに転出届や転入届を出すことは虚偽にあたります。しかし、虚偽の申告として扱われるのは『実際に引っ越しをしない』場合です。

一部の自治体では、売買契約書を提出すれば住民票の移動を認める場合もありますが、引っ越し前に住民票を移動することは基本的には認められていません。

窓口に「まだ引っ越していないけれど住民票を移動させたいです」と伝えても、「引っ越し日から14日以内じゃないと無理です」と返答がくるでしょう。この点がグレーである理由です。しかし、グレーな行為ではあるのに、住宅ローン契約時、金融機関が新住所の住民票を要求するのはなぜなのでしょうか。その理由は、次項で説明します。

住宅ローン契約時に新住所の住民票が必要な理由

多くの金融機関では、金銭消費貸借契約を結ぶときの住所は、新しい住所(融資を受ける住所)としています。

新しい住所の住民票が必要となる理由は、基本的には住宅ローンが居住用の不動産購入を前提として提供されるためです。これは、銀行が住宅ローンを不動産投資に使用されないように確認するための措置でもあります。

通常、住宅ローンは住み替えや新築住宅の購入を支援するために提供されます。金融機関は、借り手が実際にその不動産に居住することを確認する必要があり、その手段として新しい住所の住民票が要求されます。

住宅ローンは他の種類のローンよりも金利が低い傾向があり、これは居住用途に特化して提供されているからこそ実現されているのです。

一部の銀行では旧住所でも住宅ローンを利用できる場合がありますが、基本的な考え方は変わりません。

引っ越し前に住民票を移動するメリット

なぜ引っ越し前に住民票の移動した方がよいのか、その理由(メリット)を詳しく解説します。

手間と費用を抑えられる

引き渡しの際には登記も同時に行われます。登記は原則として旧住所でも可能ですが、引っ越し前に住民票移動すると手間と費用を抑えられるメリットがあります。

具体的には、売却や住宅ローンの借り換え時には住所変更登記が必要となり、これには費用(2万~3万円程度)がかかります。金銭消費貸借契約を結ぶときに住民票が旧住所のままだと、新居を登記する際に住所変更登記をする必要があるため、登記にかかる手間とお金がかかってしまいます。住所変更登記は司法書士に依頼するのが一般的で、その費用は2~3万円ほどかかります。

また、住宅ローンを活用しない場合でも、将来的な売却の際に住所の不一致が問題になる可能性があるため、住所変更登記の行う必要が出てきます。将来売却する予定がなくても、新築住宅を購入する際には金銭消費貸借契約の前に住民票の異動を検討することが賢明です。

登録免許税が安くなる

建物の購入に伴い発生する登録免許税は、建物の用途によって異なる税率が適用されます。具体的には、投資用で建物を購入する場合は、税率が建物評価額の2%になりますが、居住用で購入する場合は0.3%と軽減されます。

この軽減措置を受けるためには、「住宅家屋証明書」を取得する必要があります。住宅家屋証明とは、購入した物件が投資用ではなく、居住用として購入したことを証明する書類で、取得には新しい住所の住民票が必要です。

住宅家屋証明を取得することで、登録免許税が軽減されます。さらに、登記時に発生する所有権保存登記や抵当権設定登記の費用も減税されます。住宅家屋証明を取得しなければ、登記費用が通常の2倍から3倍に増える可能性があります。

引っ越し前に住民票の移動することで、住宅家屋証明を取得が容易にできます。

◆個別のご相談はこちら◆

引っ越し前に住民票を移動する注意点

引っ越し前に住民票を移動する際は、計画的に行う必要があります。

引っ越した前提で手続きをする

住民票の異動は自己申告で行いますので、役所から「本当に引っ越したのか証拠を見せてください」と言われることはありません。引っ越しを前提として手続きを進めることで、ほぼ確実に住民票の移動が可能です。

ただし、引き渡し前に住民票の異動を行うことは、「引っ越しは済んでいます」という虚偽の情報を役所に提供することになります。先に説明したとおり、罰則はありませんが、厳密に言えばグレーな行為です。嘘をつくことに抵抗がある方は引っ越した後(14日以内に)住民票を移動させましょう。

郵便物が新住所に届いた時の対策をしておく

新居には郵便ポストがなかったり、表札がなかったりすると、役所からの書類が返送され、まだ引っ越しをしていないことが役所に知られる可能性があります。

このような状況を避けるために、以下の対策をしておきましょう。

1.転送届を提出する
2.仮の郵便ポストを設置する
3.表札を用意する

表札がない状態では書類が戻ってしまう可能性があります。テプラなどを利用して仮の表札を作成して貼っておくことをおすすめします。仮ポストも用意しておくのがベストですが、設置が困難な場合は、転送届だけでも提出しておきましょう。

移動のタイミングは金銭消費貸借契約の1週間前

住民票を移動するおすすめのタイミングは、金銭消費貸借契約の1週間前くらいです。

直前になりすぎると、金銭消費貸借契約の際に新しい住所の住民票と印鑑証明書を用意する余裕がなくなります。また、自治体からの郵便物が予想される場合は、住民票の異動後に郵便局で転送届を提出することも忘れずに注意しましょう。

繰り返しになりますが、引っ越し前に住民票の異動を行うことは厳密にはグレーな行為です。ただし、金融機関も新しい住所の住民票と印鑑証明書の提出を求めることを理解しているため、厳格に詰問されることはまずないでしょう。慎重に進めながら、スムーズな手続きを心がけましょう。

住民票を移動させる手順

住民票を移動させる手順は、引っ越し先の市区町村が同じか異なるかによって異なります。この章では、現住所と同じ市区町村に引っ越す場合とそうでない場合の住民票を移動させる手順を解説します。

現住所と同じ市区町村に引っ越す場合

現住所と同じ市区町村内で引っ越す場合、最寄りの自治体の窓口に平日に赴き、住民異動届を提出します。提出に必要なものは以下のとおりです。

・顔写真付きの本人確認書類(運転免許証やパスポートなど)
・印鑑
・マイナンバーの通知カードまたはマイナンバーカード
・国民健康保険被保険者証(国民健康保険に加入している場合)
・後期高齢者医療被保険者証(交付されている場合)
・介護保険被保険者証(交付されている場合)

提出が完了すれば、住民票の異動手続きは終了です。自治体によって必要な書類や手続きが異なるため、事前にホームページなどで確認しておきましょう。

現住所と異なる市区町村に引っ越す場合

現住所と異なる市区町村へ引っ越す場合、転出届と転入届の提出が必要です。以下に手順を解説します。 【手順1:転出届の提出】 現住所の市区町村の自治体窓口に行き、転出届を提出します。必要な書類は以下のとおりです。   ・顔写真付きの本人確認書類(運転免許証やパスポートなど) ・印鑑 ・国民健康保険被保険者証(加入している場合) ・後期高齢者医療被保険者証(交付されている場合) ・介護保険被保険者証(交付されている場合) ・転出証明書の受け取り: ・転出届の提出後、転出証明書が交付されます。大切に保管し、新住所での転入手続きに使用します。   【手順2:転入届の提出】 新住所の市区町村の自治体に転入届を提出します。必要な書類は以下のとおりです。   ・転出証明書 ・顔写真付きの本人確認書類 ・印鑑 ・国民健康保険被保険者証 ・後期高齢者医療被保険者証 ・介護保険受給資格証明書   【手順3:手続きの完了】 転入届の提出が完了すれば、住民票の異動手続きは終了です。手続きに必要な書類や手順は自治体によって異なるため、事前に確認が必要です。

まとめ

今回は、引っ越し前に住民票を移動することについて解説しました。記事内でも説明したとおり、引っ越し前に住民票を移動することはグレーな行為ではあります。しかし、多くの金融機関では、金銭消費貸借契約を結ぶときの住所は、新しい住所(融資を受ける住所)としています。

グレーな行為を行うことに抵抗がある方は旧住所で対応する方が安心ですし、当コラムでも無理におすすめはしません。記事内で解説した「引っ越し前に住民票を移動するメリット」や行う際の注意点なども理解した上でご検討ください。