「家を買えない時代」に持ち家と賃貸どちらを選ぶべきか 投稿公開日:2024.02.22 投稿カテゴリー:blog / お住い探し / 住宅ローン 「家を買えない時代」に持ち家と賃貸どちらを選ぶべきか ——————–【目次】[1]「家を買えない時代」と言われている5つの理由1.不況で経済的に不安定2.物価高騰で家の価格が高い3.東京の人口増加で土地の価格が高い4.税金の制度や金利上昇に不安がある5.賃貸より持ち家の方が高いと思い込んでいる[2]「家を買えない時代」に持ち家と賃貸どちらを選ぶべきか1.賃貸のメリットデメリット2.持ち家のメリットデメリット[3]持ち家と賃貸の生涯コストはどのぐらい違うのか[4]今の家賃と同じなら住宅ローンを組んでも良い?[5]まとめ——————– ◆個別のご相談はこちら◆ 【無料】来店相談 【無料】電話相談 SNSや他のメディアで広がる「家を買えない時代」という意見。年収やタイミングだけはなく、その背後には単純な理由だけではないようです。この記事では、「家を買えない時代」となぜ言われるのか、そして持ち家と賃貸、どちらを選ぶべきかについて探っていきます。 「家を買えない時代」と言われている5つの理由 家を買えない時代、なんて少し悲しいですが、そう言われている理由はなぜなのでしょうか。考えられる理由を5つ挙げてみました。なお、これらは単なる一例であり、状況は個人や地域によって異なる場合があります。 不況で経済的に不安定帝国データバンクが2023年10月4日に発表した最新の「TDB景気動向調査」によると、2023年9月における景気は10業界で悪化したとの報告がありました。同時に、国税庁が2023年9月27日に公表した「令和4年分 民間給与実態統計調査」により、日本人の平均年収が457万6000円であることが判明しました。総合的な平均給与はほぼ横ばいの推移を示していますが、興味深いことに、2018年以来正社員の平均給与は堅調に上昇していることが浮かび上がります。【正社員の平均給与の推移】2018年: 506万7000円2019年: 508万2000円2020年: 501万9000円2021年: 515万7000円2022年: 523万3000円一見、年収が上がって事態は好転しているように思えますが、物価の上昇を考慮すると、賃金の伸びはどの程度か疑問視されます。これについて、厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和4年11月分結果速報」によると、令和4年11月の実質賃金指数は前年比マイナス3.8%という結果が示されました。このようなデータから察するに、賃金が物価上昇に追いついていない状況が続いていることが分かります。不況によって家計が圧迫されている状況が続き、家購入まで意識が回らないのでしょう。 物価高騰で家の価格が高いデウッドショックによる住宅価格の高騰は記憶に新しいですが、2024年12月時点ではウッドショックによる木材価格の高騰はひと段落しています。しかし、人手不足や物価の上昇などが引き続き影響を与え、ここ数年の不動産価格、特にマンション価格は、まさにバブル期に匹敵するほど高騰しています。新築住宅は価格が高騰しすぎて手の届かない状況で、そのために中古住宅への需要が増えています。しかし、日本では依然として多くの方が新築住宅を希望しており、その需要に対する供給が追いついていないことが、価格の一層の上昇を招いています。これにより、手に入れることがますます難しくなっているのが現状です。 東京の人口増加で土地の価格が高い3つ目の理由は、東京都の人口増加による土地価格の高騰です。全国的には人口が減少傾向にある中、東京都では2023年現在、逆に人口が増加しています。人口が増えると、土地や建物を手に入れたいと考える方が増え、これが不動産の価格上昇に繋がります。建物価格に続いて土地の価格も高騰し、結果として「家を買えない時代」と言われる理由のひとつになっています。 税金の制度や金利上昇に不安がある税金の制度や金利の上昇に対する不安も家を買えない理由に挙げられます。税金の制度が変わると、住宅取得に関連する費用や負担が変動する可能性があります。税制優遇策として「住宅ローン控除」が有名ですが、改正によって、省エネ基準に適合していない一般の新築住宅については、建築確認や建築時期によっては住宅ローン控除の対象外となりました。また、住宅ローンの金利上昇も住宅購入を控える方が増える原因となります。変動金利は短期プライムレートが基準のため、今のところ大きな変化はなく、低金利が続いていますが、固定金利についてはいくつかの金融機関が金利を上げています。これらの不確定な要素が、家を購入する意欲を抑制していると言えるでしょう。 賃貸より持ち家の方が高いと思い込んでいる「賃貸より持ち家の方が高い」と思い込んでいる方も多いです。転勤族などで賃貸の方がライフプランに合っている方もいるでしょう。ライフステージに合わせて住まいを変えたい方にも賃貸は向いていますよね。しかし、中には「賃貸より持ち家の方が高い」と決めつけている方もいます。実際には、一生賃貸よりも持ち家の方が生涯コストは安いケースがほとんどです。返済シミュレーションをしてみると「今の家賃と同額の住宅ローンでグレードの高い家を買える」と気付く方もたくさんいらっしゃいます。賃貸と持ち家の生涯コストについては後述しますが、「賃貸より持ち家の方が高い」という思い込みを捨てると住まいに対する選択肢が広がるでしょう。 「家を買えない時代」に持ち家と賃貸どちらを選ぶべきか 議論されつくされているテーマではありますが、「家を買えない時代」に持ち家と賃貸どちらがよいのでしょうか。それぞれのメリットデメリットから比較してみてください。 賃貸のメリットデメリット賃貸のメリットデメリットは以下のとおりです。賃貸のメリット・いつでも気軽に引っ越せる・持ち家よりも初期費用がかからない・固定資産税がかからない・修繕費用を負担しなくてもよい賃貸のデメリット・いくら家賃を払っても自分の資産にはならない・リフォームやDIYなど自由にできない・ファミリー向けの物件は少ない・敷金や礼金、2年ごとの更新料などがかかる・高齢になった時、家賃の支払いがきつい・年齢を理由に入居拒否されることがある賃貸住宅の最大のメリットは、柔軟性があり気軽に引っ越せることです。ライフスタイルに合わせて物件の広さや環境を変更する自由もあり、住まいに気軽さを求める方には賃貸が向いています。しかし、ファミリー向けの物件は限られ、広いスペースを求めると家賃が上がる傾向があります。さらに、初期費用は持ち家に比べて抑えられますが、敷金や礼金、2年ごとの更新料など、まとまったお金が必要です。そして、老後のことも考えておく必要があります。定年退職後は年金や貯金から家賃を支払うことになりますが、家賃の安い物件に住み替えようとしても、年齢を理由に入居拒否されることもあります。気軽な分、安定感に欠けている点が賃貸のデメリットです。 持ち家のメリットデメリット続いて、持ち家のメリットデメリットです。持ち家のメリット・自分の資産になる・ペットの飼育やDIYなど、自分好みの家にできる・家を担保にして融資を受けやすくなる(リバースモーゲージなど)・住宅ローン控除などの税制面での優遇制度がある・団体信用生命保険に加入していれば、万が一のとき、住宅ローンがゼロになる 持ち家のデメリット・簡単に住み替えできない・初期費用が賃貸よりも高い・固定資産税などの税制面でのコストがかかる・家の修繕費用は自分で負担する必要がある持ち家の住宅ローンは最長35年も続きますが、家は資産として残ります。さらに、団体信用生命保険に加入していれば、何かあった場合には住宅ローンがゼロになり、残された家族を守る手段となります。ただし、持ち家は初期費用とメンテナンス費用が賃貸よりもかかるため、これがデメリットと感じられる方もいます。それでも、将来を見据えた安心感を考えると、持ち家のメリットは大きいと言えるでしょう。 ◆個別のご相談はこちら◆ 【無料】来店相談 【無料】電話相談 持ち家と賃貸の生涯コストはどのぐらい違うのか 賃貸と持ち家の生涯コストを比較してみましょう。どちらも50年換算とします。 賃貸 かかる費用金額初期費用仲介手数料10万円家賃保証料11万円敷金・礼金20万円火災保険料3万円ランニングコスト(月々)家賃10万円合計6千600万円ランニングコスト(更新時)更新料10万円火災保険料3万円合計(2年に1回/24回更新)247万2,000円合計6千842万円 持ち家(マンション) かかる費用金額初期費用頭金0円諸費用120万円合計120万円ランニングコスト(月々)住宅ローン(35年払い)9万3,000円管理費8千円修繕積立金1万3千円合計5千166万円その他のランニングコスト固定資産税(毎年)8万円火災保険・地震保険料(10年に1回更新)15万円家の修繕費400万円大規模修繕(100万円×2回)200万円合計6千476万円 初期費用では賃貸が44万円に対し、持ち家は120万円と大きな差がありますが、総合的な生涯コストの差は約366万円。驚くべきことに、この試算では、一生賃貸に住む方が生涯コストは高くなりました。この結果は予想外かもしれませんが、初期費用だけでなく長期的な視点で考えると、持ち家の方がコスト面で有利ということが分かります。 今の家賃と同じなら住宅ローンを組んでも良い? 住宅ローンの返済額は金利や返済期間によって異なり、「今の家賃=住宅ローンの返済額」になるとは限りません。家の予算を単に家賃ベースで考えるのではなく、自分がどれだけの家を買えるかを住宅予算として確認し、その範囲内で物件を探すことが重要です。これに加え、住宅ローンを組む際には手付金や印紙代が現金で必要です。手付金は約100万円程度で、これが用意できないと売買契約を結ぶことができません。手付金の準備ができるかどうかは、家を購入できるかどうかの判断基準にもなります。 まとめ 「家を買えない時代」と聞くと、今家の購入を検討している方には不安が募ることでしょう。実際、2023年12月時点で土地や住宅価格の高騰が続いており、家を手に入れることが難しい状況にあります。加えて、経済的な不安も不可避の要素となっていますね。しかし、不況な時ほど持ち家が有利になることもあります。家は資産として残りますし、ローンは長くても35年で終わりがきます。賃貸は一生家賃の支払いが続きます。SNSや他のメディアで広まる意見だけを鵜呑みにするのではなく、「持ち家は賃貸よりも高いから買えない」という先入観を一旦捨て、返済シミュレーションを試してみることをおすすめします。 おすすめ 【住宅ローン控除とふるさと納税の併用】確定申告とワンストップ特例制度、どちらが得? 2024.06.21 マイホームを買うとかかる費用と節約するコツ 2024.08.14 親から資金援助を受ける時は贈与税に注意 2021.11.10